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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
日本の津波予報
 

2. 従来の津波予報の方法
 従来の津波予報の方法は、原理的には、1952年に津波の予報業務を開始した時のものと同じ手順によっている。すなわち、地震動の観測、震源位 置と地震規模の決定、津波発生の有無の判断と津波の高さの推定そして津波予報の報知である。この手順でメインとなる部分、つまり、津波発生有無の判断と津波の高さの推定は、経験に基づくものであった。

 図2は気象庁が1999年4月に新しい津波予報業務を開始する以前に予報作業で使用されていた津波予報図と呼ばれるものである。ここには、震央距離(震源直上の地表での点と観測点との間の距離)と地震動の最大震幅がとられている。それらの間の関係は、代表的なマグニチュードの場合において曲線で、津波予報のカテゴリー(区分)の境界は太線で示されている。カテゴリーは、「大津波」(高いところで3m以上の津波を予想)、「津波」(高いところで2m以上の津波を予想)、「津波注意」(高いところで数10kmの津波を予想)そして「津波無し」(津波の襲来する恐れは無い)の4つである。

 この予報図に従えば、たとえば、マグニチュードが8の地震が海域で発生した場合、震央から200km以内の沿岸には「大津波」が、300km以内、400km以上の沿岸にはそれぞれ「津波」、「津波注意」の予報が発表されることとなる。

 すなわち、図中の太線が津波予報の本質となるものであるが、これらは過去の津波事例から経験的に求められたものであり、物理的に明確な根拠を持つものではない。

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図2 以前の津波予想図
 

3. 新しい津波予報業務
 1999年4月に始まった新しい津波予報業務は、以下に示す4種類の情報から成り立っている。図3に流れ図を示す。

カテゴリー予報:地震発生後約3分で発表。具体的な高さの数値は含まず、津波来襲の危険性を大まかな規模区分(カテゴリー)で表している。
津波到達予想時刻および予想される津波の高さに関する情報:地震発生後約5分で発表。
各地の満潮時刻・津波到達予想時刻に関する情報:地震発生後約7分で発表。
津波観測に関する情報:第1波が観測された以後、随時発表。

 これら一連の情報が、津波の影響の可能性のある地域に対して発表される。ここで述べた各情報発表までの時間は日本沿岸周辺で発生する近地地震についてのものであり、遠地地震に関してはより多くの時間を必要とする。

 この津波予報は、2章で述べたこれまでの津波予報とはかなり異なったものになっている。最大の違いは、新方式は予想される津波の高さを具体的な数値で表していることである。この意味で、定性的であった従前の津波予報に比べ、新方式は(定)量 的予報であると言える。この方法は、数値シミュレーション技術とデータベース方式の採用によって実現された。震源位 置とマグニチュードがいったん決定されると、予想される津波の高さと到達予想時刻がデータベースから非常に短時間の内に検索される。

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図3 新しい津波予想のフロー図
 

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