A. 津波危険査定 過去の津波データから危険区域を割り出せる地域もあるが、そのようなデータがある地域はほとんどない。このような場合には、津波浸水数値モデルを使えば、局地津波や遠地津波の発生時に浸水する恐れのある区域を予測することができる。この浸水数値モデル技術は、非常事態対策のための津波浸水地図を作るのに役に立つ。
B. 警報指導 モデルの第2の要素は、迫り来る津波の危険を沿岸地域の住民に伝えるための、地域の危険査定に基づいた適切な警報システムである。これには太平洋全域、地方、地域を対象とする3種類の警報システムがある。太平洋全域を対象とする警報システムは警報を出すまでに約1時間かかるので、震源から750キロ以上(この時間内に津波が到達する最大距離)離れた住人に対してのみ有効である。地方警報システムは10分後に出される(震源から100キロ〜750キロ離れた住民に有効)、地域警報システムは5分後に出される(震源から60キロ〜100キロ離れた住民に有効)。現在、太平洋全域システムを受け持っているのは太平洋津波警報センターと、定評ある5箇所の地方システムである(その内2ヶ所は米国にあり、日本、ロシア、フランス領ポリネシアに1つずつある)。
C. 軽減 軽減には、津波に襲われる危険地域による危険軽減努力が含まれる。遠方で発生した津波の脅威については、地元の管轄機間が津波警報センターからできるだけ早く情報を入手し、警報センターの掲示板に載った情報を把握し、適切な対策プランを実施することが肝要である。局地津波の場合、津波は地震発生後わずか数分で近くの沿岸地域に達するので、津波警報を出せたとしても、地元の役人にはリスクを正確に査定し、避難について合理的な判断を下し、住民に警報を周知させ、整然と避難させる余裕はない。どの地区が危険なのかを知っておくだけでなく、住民が津波の前兆を察知して、海岸から離れて速やかに高台や内陸部に避難することが最も大切である。このプログラムに基づく軽減活動については、クリス・ジョニエ−トリスラー氏とリチャード・アイスナー氏の発表でもっと詳しく説明されるだろう。