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(要約) 1995年1月17日に発生した、阪神・淡路大震災は、本市と同じ国際港湾都市である神戸市に、いわゆる都市直下型地震によって甚大な被害が生じた。このため、横浜市では、地震防災対策の抜本的な見直しを行った。
阪神・淡路大震災では、神戸市街地を中心とする東西の狭い地域に甚大な人的・物的被害をもたらした強震動の分布、いわゆる「震災の帯」が認められた。この原因の一つとして、地下深部の地震基盤までの構造が挙げられ、より正確な強震動予測のためには、地下深部の構造や、地震の波の伝わり方に関する情報が重要であることが改めて指摘された。
今回、報告する「横浜市の地下構造調査とその応用について」は、市内の地域毎の地震の揺れを高い精度で予測し、「リアルタイム地震防災システム」の強震動データを活用して、地震基盤と呼ばれる地下深部にある岩盤までの詳しい構造を把握するものである。
これにより、複数の想定地震に対する地震動を計算し、「市域内のどこがどのように揺れるのか」を示す強震動予測図である「地震マップ」を全国に先駆けて作成するものである。「地震マップ」は、将来発生する地震についての具体的な情報として、市民、企業に提供することにより、防災意識の啓発と自主防災対策に活かすとともに、建築物及び構造物の設計基準や都市計画に反映させるものである。
1 はじめに 横浜市の地震防災対策は、1923年9月に発生した関東大震災を教訓に「災害に強い都市づくり」、「災害に強い人づくり」を念頭に都市構造の改善、消防力の強化、広域避難所の指定、防災訓練の実施などを計画的に進めてきた。
しかし、1995年1月17日に発生した、阪神・淡路大震災では、本市と同じ国際港湾都市である神戸市に、いわゆる都市直下型地震によって甚大な被害をもたらし、地震防災の軽減対策を、抜本的に見直す必要性を認識させた。
そこで、横浜市では、阪神・淡路大震災を貴重な教訓として、市長の協力なリーダーシップのもとで、地震防災対策を総点検するとともに、市民、企業、防災関係機関と連携し、ハード・ソフト両面にわたる地震防災対策を実践的・戦略的に進めてきた。
今回報告する「横浜市の地下構造調査とその応用について」は、市内の地域毎の地震の揺れを高い精度で予測し、「高密度強震計ネットワーク 1 」の強震動データを活用して、地震基盤と呼ばれる地下深部にある硬い岩盤までの詳しい構造を把握するものである。また、これにより、複数の想定地震に対する地震動に対する地震動を計算し、「市域内のどこがどのように揺れるのか」を示す強震動予測図である「地震マップ」を、全国に先駆けて作成するものである。1 横浜市域内に150箇所の地震計をきめ細かく設置し、地震発生後3分以内で震度や加速度などの地震動データを収集するシステム
2 横浜市における阪神・淡路大震災以降の地震防災対策の概要 横浜市では、1995年2月3日に「横浜市地震対策強化推進会議」を設置して、地震防災対策の進行管理を行った。
この推進会議の特徴は、以下のとおりである。
(1) 高秀市長を議長とし、助役、全局区長を委員としたトップダウン方式で議論を進める。 (2) 検討課題を短期12項目、中長期24項目の計36項目に整理し、議論の達成目標を明確にするとともに、決定した事項や事業は直ちに実行する。
「地震対策強化推進会議」は、1996年3月までに約3ヶ月に2回のペースで計9回開催され最終的に100項目を越す検討について取りまとめを行った。これらの検討成果は、「横浜市防災会議」に諮問され、1997年3月の「横浜市防災計画(震災対策編)」に反映された。
その後も、「横浜市地震対策強化推進会議」は、「横浜市防災対策推進会議」に発展的に継承され、市長の強力なリーダーシップのもとで、ハード・ソフト両面にわたる地震防災対策を実践的・戦略的に進めている。
また、横浜市では、地震学や耐震工学の専門家と行政担当者との議論を通じて、科学的に根拠のある震災対策を実施するために、複数の委員会や懇話会を設け各種の検討を行っている。1995年3月に設置した「横浜市地震懇話会」には市長自らも議論に参加し、今日まで
(1) 横浜市域における地震観測データの収集 (2) 横浜市域における地震発生メカニズムに関する研究・検討 (3) 地震大害軽減対策システムなどに関する提案 (4) 構造物の設計に際して考慮すべき地震動のレベルの検討
などを行ってきている。(写‐1)
今回報告する地下構造物調査についても、これらの懇話会で議論・提案されたものである。
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