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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
日本における耐震改修技術の概要について
 
4)地震動の軽減
 地震動の軽減を主眼とする改修手法としては、複層ゴムなどによる免震装置を基礎と躯体や上部構造部と下部構造部の間に挿入し地震動を吸収する免震工法が良く用いられる。地下工事となるため工費が高くなる傾向があるが、特に、歴史的建造物等で建築物の躯体に直接改修を施すことに差し障りがある場合や一定の開口部の確保が必要であると言った建築物の用途上の制約がある場合に採用されることが多い(写 真6)。
 
 多くの場合、改修自体は必ずしも現行の仕様的な建築基準に適合させることが簡単でないことが想定されることから、改修結果 が必要な耐震性を備えることになったかどうかの確認には、耐震診断方法を再度適用してみて、その結果 によって判断することとしている。
 

5 今後の展望
 耐震改修法の具体的実例は以上の通りであるが、つぎに全体的な各工法の採用頻度やコスト面 から見た工法別の便益性等が議論となる、残念ながらこの面での実態を把握することは極めて困難である。なぜなら、建築行為が行政の届出を要することで把握可能となるのは新築や大規模な増改築に限られており、局所的な改修は届出の義務を設けていない。従って、建築物の所有者が専門家に診断を依頼しその結果 を見て一部の躯体を改修したからといって必ずしも自治体がそれを把握することが出来るわけではない。ある程度実態が把握できるのは、地方公共団体が自ら管理する施設について診断した結果 と改修工事を実施した結果である。残念ながら、国が管理する施設や民間建築物についてはっきりした情報を得ることが困難である。さらに建築物の大部分を占める住宅、特に戸建ての住宅については、行政的な働きかけに限界があり、改修も含め民間に任せるままになっている。住宅について行政側でどの様な手だてが取られるべきかに付いては地震防災政策上もっとも難しい課題となっている。というのは、この分野についての官民の役割分担について合意形成が出来ていないからである。極端な見方の一つは行政側が十分な財政的支援のもとで自治体や住民を動かすようにするべきだというものであり、他の極端な見方は、行政側が十分に支援することは困難だとの認識に立って十分な情報提供とそれによる住民の自衛努力を待つべきであるというものである。このため、耐震改修技術についてはさらなる分析や開発が必要ではあるものの、このような分野は主として民間に主導されて実行されている。現下の行政上の課題は具体的な地区について統計的推計手法やモデル研究を通 じて政策評価手法を開発することにある。このような手法が開発されれば、重要性を認識しているもののどの様に取り組んで良いか分からない多くの自治体に対して技術的側面 も含めて効果的に課題に取り組むことが可能になるものと期待される。

 

表1 阪神の地震被害(建築時期と被害状況:三宮地区での悉皆調査)

  昭和56年度以前 昭和57年度以降
倒壊又は崩壊 105(14%) 5(3%)
大破 116(15%) 7(5%)
中破 151(20%) 8(5%)
小破 137(18%) 18(12%)
軽微 168(22%) 58(39%)
無被害 96(12%) 54(36%)
総計 773 150

出典 平成7年阪神・淡路大震災建築震災調査委員会中間報告 建設省住宅局

 
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図1,2 図3,4 写真1,2
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写真3,4 写真5,6
 

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