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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
日本における耐震改修技術の概要について
 
1)木造
*建築物に作用する地震の震動及び衝撃に耐えるように、軸組を構成する柱及び間柱並びに梁、桁、土台その他の横架材に合板を釘で打ち付けること等によって軸組を補強すること。
*筋交いは、その端部を、柱と梁その他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、釘その他の金物で緊結し、構造耐力上主要な部分である継ぎ手または仕口は、ボルト締め、かすがい打ち、込み栓打ちその他の構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結すること。
*地盤が軟弱な地域内においては土台または柱は一体の鉄筋コンクリート造の布基礎に緊結すること。但し、やむを得ず一体の鉄筋コンクリート造の布基礎を設けることが出来ない場合には、地盤の沈下または変形に対して、構造耐力上主要な部分である柱で最下階の部分に使用するものの下部、土台及び基礎が構造耐力上安全なものとなるように、足固めを使用し、又は基礎をコンクリートで補強すること
*外壁のうち、鉄鋼モルタル塗りその他軸組が腐りやすい構造である部分又は柱、筋交いおよび土台のうち、地面から1メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、白アリその他の虫による害を防ぐための措置を講ずること。
日本の伝統的な構造法は木造である。また、北米で盛んな枠組み壁工法と異なり軸組による工法となっている。この工法は、伝染病が蔓延しやすい時期にあたる高温多湿な日本の夏を凌ぐのに便利で、通風を確保し、居住空間を快適にすることができる広い開口部を可能にしている。しかしながら、この構造で開口部を確保し、平面計画の自由度を上げるために、地震により生ずる横力に対して効果的に働く壁をあまり配置しないことになりがちである。また瓦屋根の場合はさらに屋根の重量が大きくなることから危険性が増大する。このため木造の耐震改修では、横力で抵抗できる壁を、全体の均衡をはかりながら配置することが主な手法になる。壁量を追加するためには、筋交いを挿入したり(図1)構造用合板を打ち付けて耐力壁にしたり(図2)、既存の壁を強化することが行われる。さらに、構造部の強化では補強柱や控柱の追加、緊結部での金物による補強、添柱や方づえによる補強(図3)が行われる。さらに、古い伝統的な工法の木造では強固な基礎を採用しないので、地盤へ力を伝えることが出来ない。このため、基礎、土台その他の下部部材を地震力を地盤に伝えられるよう強化する改修(図4)も行われる。
 
2)鉄骨造
*建築物に作用する地震の震動及び衝撃に耐えるように、筋交いを補強し、又は増設すること。この場合において、当該筋交いの端部及び接合部が破断しないものとすること。
*柱又は梁若しくはこれらの接合部が局部座屈、破断等を生ずる恐れのある場合においては、これらの部分を添板等によって補強すること。
*腐食のおそれのある部分に使用する鋼材には、有効なさび止めを講ずること。
日本においては鉄骨造は高層建築のみならず小規模な中層建築物において多用されている。鉄骨造の場合の耐震改修方法としては、耐力壁を増強する方法として筋交いの増設や鋼板を取り付ける鋼板耐震壁の設置、耐震間柱の設置がある。また、部材や接合部の強度や靭性を増す方法としては、既存の部材上にカバープレートを取り付けることやH形鋼を取り付けることが行われており、また既存の筋交いの接合部の補強にはガゼットプレートの板厚の補強や高力ボルト本数の増加が行われる。鉄骨造の場合はこのほかに、阪神淡路震災でも問題になったが、鉄骨部材から力を地盤に安全に伝えるたの柱脚の改修が重要である。
 

3)鉄筋コンクリート構造等
*建築物に作用する地震の震動及び衝撃に耐えるように、壁を厚くすること等により補強し、又は壁若しくは鉄骨造の筋交いを増設すること。
柱が剪断破壊等によって急激な耐力の低下を生じる恐れのある場合には、当該柱に鋼板を巻き付けることその他の靭性を持たせるための措置を講ずること。
RC造は中高層建築物で幅広く採用されている。RC造においては、軸組による工法が多いことから耐震診断上は壁量の不足が指摘されることが多い。従って改修ではバランスを考慮した耐震壁の付加がおもなものとなる。付加する耐震壁はRC造で柱梁の開口部をふさぐ方法、柱梁の開口部を鉄骨製のブレースで埋める方法などがある。またピロティ形式の建築物や低層部に大空間を確保する形式の建築物で独立性の靭性は不足する場合では独立柱を鋼板で覆ったり炭素繊維で補強するなどの手法あるいは柱に袖壁を付加して補強する手法が用いられる。また、腰壁や垂れ壁が柱の剪断耐力に負担を与える場合にはこれらの壁と柱を絶縁することも手法の一つである(写真1〜5)

 

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