jishin

EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
サンフランシスコ湾地域地震発生確率と想定地震
(SAN FRANCISCO BAY REGION PROBABILITY REPORT AND SCENARIO EARTHQUAKES)
 
ウイリアム・L・エルズワース 1
(William L. Ellsworth)
 

要約
 
米国地質調査所(USGS) の最近の発表によると、サンフランシスコ湾地域で、2030年までの間にマグニチュードが6.7かそれ以上の大地震が最低1回発生する確率が70%あるという。この予測は当該地域で地震が避けられないことと、この湾地域の関係者全員に、地震への準防災意識の啓発を行っている。政策決定者や国民への一番効果的な地震の危険に関する教育方法は、最も起こりそうな地震についてその影響を詳細に描写するシナリオを使用することである。本紙では、将来の地震による被害軽減の道具としての地震発生予知と想定地震の役割について考察する。

キーワード:地震発生確率、想定地震 、地震災害防止

 

1. 序論
 
サンフランシスコ湾地域の居住人口は600万人である。この地域は、サンフランシスコ湾を囲み、太平洋岸からカリフォルニアのセントラルバレーにまで広がっている。全体の広さは18,000平方キロあり、歴史的に古く人口の多いサンフランシスコ市、オークランド市、サンホセ市を含む100あまりの市と町、さらに9つの郡をも有する。この地域は1838年のカリフォルニア州での金の発見以来、急速に絶え間なく発展してきた。その発展は、ハイテク技術への世界需要をみたすためにさらに活発になった経済環境の中で、鈍る気配はない。

 この地域は、サンアンドレアス断層系の上に位置している。これは、80キロメートルの幅に広がる北アメリカと太平洋大陸棚の境目をなす断層系である。この比較的狭い大陸棚移動の地帯で、年間約40ミリの動きが有り、主に不定期に起こる大きいマグニチュードの地震で、対処されている。過去150年間のあいだに、この大陸棚の境界全域にわたって住宅地区が広がり、世界で最も危険な多くの町がある地域となった。

 地域住民の安全を脅かす地震は、色々な形での危険を与える。地表断層の形成、強震、地滑り、液化、永久的地盤変形など。地震がもたらす被害と破壊は、1865、1868、1906、1989年の大地震で経験してきたことである。これらの地震の都度、上記の全く同じ地質学上の問題点が示されてきた。 そして、その都度、地震に対しさらに高い安全性を確保するため、よりよき計画と建築基準が求められた。 しかし、これら学ばれたことは、さらに新たな地震の度にその都度再び繰り返して、学ばなければならなかった。それは対策を取らなかったために20世紀には大地震が長い間発生しなかったためである。

 本紙では、科学的に裏付けされた手法による地震予知と、地震が及ぼす影響の推定がこの地域では避けることのできない地震から人や財産を守るために使用される種々の方法について査察する。過去の地震対策の成功例、失敗例から学んだ教訓が、地震の脅威を削減することになる慎重なまた事情に精通した決定を産業界、政府機関、及び国民ができるよう導いてくれる。

1 地球物理研究者、地震危険チーム、アメリカ地質調査機関
Research Geophysicist, Earthquake Hazards Team, US Geological Survey,
Menlo Park, CA 94025, USA, ellswrth@andreas.wr.usgs.gov

 

前へ 】【一覧へ 】【次へ


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.