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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地方自治体における広域的な応急対策活動
 

2 日本の消防による防災体制
 広域的な応急対策活動の説明の前に、消防の組織についての法制度の概要を紹介します。
(1)消防の任務・市町村の消防体制
 消防の任務について、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護すると共に、水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害による被害を軽減することと定義し、また、市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有し、常備消防機関又は消防団を持たねばなりません。
市町村の消防の現況
・常備消防機関は、消防本部が920本部、消防署所が4,894、消防職員が151,703人であり、人口の99.7%が常備消防によりカバーされている。
・消防団は、3,643団、962,625人が活動中であり、ほぼ全市町村に整備されている
(2)市町村消防の自主性・消防庁長官の助言
 市町村の消防は、消防庁長官、都道府県知事の運営管理あるいは行政管理に服することはないとし、市町村消防の自主性を確保する一方、消防庁長官は、必要に応じ、消防に関する事項について都道府県又は市町村に対して助言を与え、勧告し、又は指導を行うことができます。

  例えば、消防庁長官は市町村が火災の予防、警戒及び鎮圧並びに救急業務等を行うために必要な最小限度の施設及び人員について「消防力の基準」を定めています。
消防力の基準における施設及び人員の概要
・消防ポンプ自動車、消防艇、救急自動車、救助工作車等について種類を分けて基準を定めている。
・消防職員及び消防団員について、警防業務、救助業務、予防業務、救急業務、通信業務、防災上の業務等に分け基準を定めている。

(3)市町村相互の応援。応援出動に伴う指揮
 市町村は、必要に応じ、消防に関し相互に応援するように努める事が義務付けられ、また、消防の応援のために出動した消防機関の職員は、応援を受けた市町村の長の指揮の下に行動します。

(4)非常事態時における都道府県知事の指示
 都道府県知事は、地震等の非常事態の場合において、緊急の必要があるときは、市町村長、市町村の消防長等に対し、災害防御の措置に関し必要な指示をすることができるとしており、これにより消防隊の出動や災害用資機材の輸送その他の応援行為が行われます。

(5)非常事態時における消防庁長官による応援のための措置要求
-1-被災県の知事からの要請に基づく、消防の広域応援
地震等の非常事態の場合に、災害発生市町村の消防の応援に関しては、原則として要請主義をとっており、都道府県知事から消防庁長官に要請があり、かつ、必要があると認めるときは、消防庁長官は、その他の都道府県の知事に対し消防の応援のため必要な措置を取ることを求めることができることとなっています。

-2-緊急を要する際の、被災県の知事からの要請に寄らない消防の広域応援消防庁長官は、地震等の非常事態の場合に、災害の規模等に照らし緊急を要し、緊急に 消防の応援を必要とすると認められる災害発生市町村のため、その市町村の属する都道府県以外の都道府県の知事に対し必要な措置を取ることを求めることができます。

 また、消防庁長官は、人命の救助等のために特に緊急を要し、かつ、広域的に消防機関の職員の応援出動等の措置を的確かつ迅速に取る必要があると認められるときは、緊急に当該応援出動等の措置を必要とすると認められる災害発生市町村のため、当該発生市町村以外の市町村の長に対し、当該応援出動等の措置を取ることを自ら求めることができることとなっております。

 特に、こうした被災県の知事からの要請に寄らない消防の広域応援については、阪神淡路大震災の後整備された規定であり、この規定の整備に併せて、消防庁の情報収集体制の強化充実と広域的な消防の応援体制の整備が進められています。

 

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