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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地方自治体における広域的な応急対策活動
 
高村知孝
自治省・消防庁震災対策指導室 課長補佐
 
(要約)
1 地震等の災害を防ぎ、被害の軽減をその任務とする消防庁では、従前から消防の制度、人員等の整備充実を努めるとともに、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の連携などの震災対策の充実に努めてきた。
2 我が国の市町村の消防は自主性を確保され、また必要に応じて消防に関し相互に応援することに努めることが義務づけられていますが、非常事態時においては都道府県知事からの指示、消防庁長官からの措置要求により、災害発生市町村のため、それ以外の市町村に対して応援出動の措置を求めることができる。
3 消防庁では、被災地域の情報収集体制を迅速に入手するため、被災地域の地方政府からの情報を入手する体制のほか、震度情報ネットワークシステムの整備、また消防の広域応援を念頭とした消防ヘリコプターによる先行調査体制を推進している。
また、災害情報の分析と広域的な消防応援規模の判断のために、簡易型地震被害想定システムの普及を行っている。
4 消防庁では、阪神・淡路大震災の教訓等を踏まえ、国内で発生した地震等の大規模災害時における人命救助活動等を迅速かつ効果的に行うため、「緊急消防援助隊」を整備することにより、全国の消防機関相互による迅速な援助体制を確保している。
緊急消防援助隊は活動内容により、消火部隊、救助部隊、救急活動、指揮支援部隊、後方支援部隊、特殊部隊に分かれている。
消防庁長官は、緊急消防援助隊が迅速かつ適切に出動するため、予め必要な基本的出動計画を定めている。
5 緊急消防援助隊の出動能力としては、発災後3時間で266人が到着し、12時間後には2,653人が到着する試算となっている。
この数字は、阪神淡路大震災時におけるピーク時の数を上回るものである。
また、被災地における広域的な被害状況、部隊の集結状況等を適宜把握する必要があり、こうした情報の収集対策が今後の課題と考えられる。
 

1 はじめに
 我が国は、環太平洋地震帯の中に位置するため、昔から多くの地震が断続的に発生し、 津波、火災、家屋倒壊など多くの被害を受けてきた。今から1315年前の684年には四国の土佐で田園地帯が12㎞の長さに渡り海に沈下したとの記録があります。

  近時を見ても、有名な1923年の関東大震災では約10万人の犠牲者があり、1933年の三陸地震、1946年の東海地震、1948年の福井地震などで多くの犠牲者がでており、最近では1995年1月に6,300余人の死者をだした阪神淡路大震災が発生しました。

  そのような環境の中、我が国では種々の地震対策を講じてきました。地震等の災害を防除し、被害を軽減することをその任務のひとつとする消防庁においても、従前から消防の制度、人員、装備、資機材等の整備充実に努めるとともに、災害対策基本法、大規模地震対策特別措置法等各種法令の趣旨に基づき、震災対策に係る国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の連携、地域防災計画(震災対策編)等の作成に係る指導・助言、防災訓練の指導及び実施、防災資機材の普及啓発、震災対策に関する調査・研究など、震災対策の充実に努めてきました。

  特に、阪神淡路大震災以後においては、その教訓を生かし、地震防災対策のより一層の充実及び実践的な施策の展開を進めています。

  具体的には、法制面で地震防災対策特別措置法等の制定をはじめ法令の改正を行うとともに、地方公共団体の総合的な災害対策の基本となる地域防災計画における被害想定、要員配備体制、応援体制を地域の実情に即した見直しの指導を行いました。

  また、防災体制面では1996年6月には、大規模災害時における地方公共団体による広域応援体制を強化するため、緊急消防援助隊を創設と航空消防応援体制の強化を図りました。また、警察庁においても都道府県の枠を越えて広域的に即応するための広域緊急援助隊が発足しました。

  さらに、地震時の出火防止、初期消火の徹底及び延焼拡大の防止のため、防火水槽の整備等による消防力の強化を図り、耐震性貯水槽等の防災基盤整備などより一層の充実を推進してきました。

  また、大規模地震時における防災機関の迅速な初動体制に資するよう震度情報をより早く確認するため、国内の全市町村に震度計を設置した震度情報ネットワーク網を整備し、情報システムの確立を図りました。

  防災体制の強化については、消防機関をはじめとする防災関係機関による体制整備のほか、地域住民が連帯し、地域ぐるみの防災体制を確立することが重要であり、地域に根ざした自主的な防災活動を効果的かつ組織的に行うため、地域ごとに出火の防止、初期消火、応急活動等を行う自主防災組織の整備を推進しており、現在組織率は約54%(全国の総世帯数に対する組織されている地域の世帯数の割合)となっています。

  このような一連の地震対策のなかで、特に効果的な活用が期待されるものとして、地方自治体の単位を越えた広域的な応急対策活動体制の確立が望まれています。

 以下、広域的な応急対策活動について、現状等を報告させていただきます。

 

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