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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
アクションプラン作成等による複数機関の連携について
−南関東地域における震災時の医療搬送活動を中心に−  
 
国土庁防災局震災対策課 課長補佐 四日市正俊
 

(要約)
1.南関東地域の大規模な震災においては、重傷患者等が大量に発生する一方、被災地内の医療機能が大きく低下する中で、被災地外の支援・協力も得ながら、広域医療搬送活動を迅速に実施しなければならない。阪神・淡路大震災においては、負傷者の搬送活動が必ずしも十分に行われなかったことから、この教訓を今後の防災行政、特に、甚大な被害が想定される南関東地域の震災対策に活かしていく必要がある。
2.阪神・淡路大震災の教訓等を踏まえて改訂された「南関東地域震災応急対策活動要領」及び「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」では、関係機関の連携により積極的に進めるべき応急対策の課題(医療搬送、輸送ネットワーク等)を位置付けるとともに、特に応急対策における実践的な行動計画(アクションプラン)の作成により平常時から実践的な備えを十分講じておくことが位置付けられた。これを受け、大規模震災時の医療と搬送について検討を行い、平成10年8月に中央防災会議主事会議において、「南関東地域における大規模災害時の広域医療搬送活動アクションプラン第1次申し合わせ」が行われた。

  広域医療搬送活動アクションプランは、速やかに適切な処置を講じなければ人命が損なわれるおそれのある重篤患者を救うため、地震発生後24時間以内を想定し、重篤患者を広域搬送する観点から、緊急(非常)災害対策本部及び関係省庁が地方公共団体レベルの取り組みを効果的に支援するための対応等を申し合わせたものである。
これにより、政府として、地震発生直後の初動段階における広域医療搬送体制の迅速な確立と、応急対策実施段階における広域医療搬送活動について、被災地方公共団体を効果的に支援することが可能となる。

 

1.はじめに
 
南関東地域の大規模な震災においては、重傷患者等が大量に発生する一方、被災地内の医療機能が大きく低下する中で、被災地外の支援・協力も得ながら、広域医療搬送活動を迅速に実施しなければならない。阪神・淡路大震災においては、負傷者の搬送活動が必ずしも十分に行われなかったことから、この教訓を今後の防災行政、特に、甚大な被害が想定される南関東地域の震災対策に活かしていく必要がある。本セッションでは、南関東地域の地震対策と国における震災時の広域医療搬送活動の取り組みについて紹介する。

 

2.南関東地域の震災対策
 
人口及び社会・経済の諸機能が集中している南関東地域においては、中央防災会議の専門委員会報告により、マグニチュード7程度の地震発生の切迫性が高まっていることが指摘されており、地震が発生した場合には、著しい被害が生じることが想定されている。このため、中央防災会議において、昭和63年12月に地震発生時に緊急災害対策本部を中心に関係機関が連携して応急対策を実施する場合の手順等を定めた「南関東地域震災応急対策活動要領」(以下「活動要領」)を、平成4年8月に事前対策を中心とした震災対策の基本方針を示す「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」(以下「大綱」)を決定している。

 

3.阪神・淡路大震災の教訓と南関東地域の震災対策の見直し
 
平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は戦後の我が国の大都市直下を襲った初めての大震災であり、震災対策をさらに積極的に推進する必要のあることが再認識されるとともに、防災関係機関の初動対応を迅速かつ的確に行うため、関係機関の連携のもと実践的な備えを事前に講じておくことの必要性が指摘されたところである。

  このため、阪神・淡路大震災の教訓とその後の新たな施策の進展や中央防災会議に設置された大都市震災対策専門委員会の提言(平成10年6月)で指摘された関係機関の実践的連携の一層の推進の必要性を踏まえ、平成10年6月に大綱及び活動要領の改訂を行った。

  このうち、大綱の改訂においては、予防対策、応急対策の備えなどの分野ごとに、体系的・網羅的に対策を整理し、内容を充実するとともに、密集市街地、高層ビル、地下街など危険性の高い地域の特性に応じた対策や、行政・経済機能の被災対策、帰宅困難者対策など南関東地域特有の課題に対する対策について新たに位置づけがなされた。また、圏域を対象とした広域的な被害想定の実施や、平常時及び災害時の情報共有の推進など関係機関の連携により積極的に進めるべき課題を位置付けるとともに、特に応急対策における実践的な行動計画(アクションプラン)の作成(医療と搬送活動など)により平常時から実践的な備えを十分講じておくことが位置づけられた。

  また、活動要領の改訂においては、国の積極的な活動の前提となる情報の共有化について内容を充実するとともに、二次災害の防止活動、自発的支援の受け入れ、傷病者の搬送活動、帰宅困難者対策等の分野を新たに追加した。さらに、関係機関が実践的な連携を図りながら効果的に応急対策活動を実施する必要がある分野として、傷病者の搬送を含めた医療活動、輸送拠点等を含めた輸送ネットワーク等を挙げ、これをアクションプランを作成すべき課題として新たに提示し、今後順次検討を進めていくこととした。

 

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