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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地震動予測地図の作成への取り組みについて
 

3.3.2 地震発生可能性の長期確率評価
 
地震発生の可能性の長期的な確率評価は、「陸域及び沿岸域にある活断層を震源とする地震」、「プレート境界に起きる地震」、並びに「浅い震源で地表に痕跡を残さないマグニチュード6クラス以下の地震、活動頻度の小さい地震及び深発地震」の大きく3つに分けて行うことが考えられている。

  「陸域及び沿岸域にある活断層を震源とする地震」の長期評価を行うためのデータとしては、同時に活動する区間の情報、その区間における平均活動間隔、最新活動時期などが 必要である。これらのデータを使い、断層の長期的な活動可能性を確率として表すことにより、地震動予測地図の作成のための基礎資料として活用できる。

  「プレート境界に起きる地震」についても、上記の手法と概ね同様に、その長期評価が可能である。しかしながら、「浅い震源で地表に痕跡を残さないマグニチュード6クラス以下の地震、活動頻度の小さい地震及び深発地震」については、今後の課題となっている。

3.4 強震動予測手法の高度化等の推進
 
地震動を評価するためには、震源・断層に関する特性(震源特性)、震源で地震波が放射されてから基盤中を伝播する際の特性(伝播経路特性)、基盤から地表までの特性(サイト特性)を求めることが必要である。これらの特性を求める方法として、理論による方法、観測記録そのものを使う方法、多くの観測記録を統計処理した結果を使う方法などがあり、これらの組み合わせによって地震動の評価手法は、経験的方法、半経験的方法、理論的方法、ハイブリッド法に分類されている。

  手法の適用にあたっては、強震動評価手法の選択、震源のモデル化、地下構造のモデル化、また震源から放出された地震波の伝達関数(グリーン関数)の計算手法等の多くの検討が必要となる。このため、現在、地震調査委員会において、検討に必要な体制の整備 (新たに強震動評価部会を平成11年8月25日に設置)等を進めているところである。

  一方、活断層による強震動予測には、当該断層で発生した地震の記録が有用であるため、 基盤的調査観測計画に基づき整備された強震動観測施設等による観測データの収集、蓄積に努め、活断層ごとのデータベースを図ることとしている。

  また、地下構造、特に地下における地震の波の伝わり方に関する情報が極めて重要であることから、より精緻な予測のため、人工周密な平野部を中心として地下構造調査を推進することとしている。現在、関係地方公共団体は、科学技術庁の支援を受けて、試行的な大都市平野部の地下構造調査を3地域において実施しており、科学技術庁は地域毎の調査条件を考慮した合理的かつ効率的な探査法の組み合わせの検討の準備を行っているところである。

3.5 地震動予測地図作成に当たってのその活用の考え方
 
予測地図は、とりあえずは、日本全国を大まかに概観したものとなると考えられており、その活用は主として国民の地震防災意識の高揚のために用いられるものと想定されている。

  また、将来的に予測地図が、その予測の精度を向上させ、地域的に細かな予測地図が作成されることとなった場合には、地震に強いまちづくり、地域づくりの根拠としての活用(土地利用計画や、施設・構造物の耐震基準の前提条件として)など、地震防災対策への活用や、被害想定と組み合わせて、地震防災対策の重点化を検討する際の参考資料とすることも考えられる。さらに、重要施設や企業の立地におけるリスク評価情報としての活用も期待される。

  しかしながら、確率を含んだ地震の発生可能性等に関する情報は、必ずしも簡単には理解できない内容を含んでおり、この情報が国民の地震防災意識の高揚に結びつき、また地震防災対策に活用されるためには、それが意味することの丁寧な説明と、社会科学的な視点も含めた検討が必要である。情報を取りまとめる形式については、防災関係機関、その他関係者、住民等の意向を踏まえて十分な検討を行うものとする。この際、国民にとって身近な情報として受け取られるためには数十年程度の期間に関する情報が必要だが、陸域の活断層による地震については、数十年程度の短い期間における地震の発生確率は高い数値にはならないので、これが単なる安心情報として誤って理解されることのないように十分注意すべきである。

 なお、予測地図の作成の根拠となるデータ、手法等を原則として公表することを考えており、活断層調査等によってもたらされる新たな知見、地下構造調査の進展、強震動予測手法の高度化、地震発生の長期的な予測の精度の向上等、地震調査研究の進展を図って、その精度の向上に努めるものとしている。

 

4 総合基本施策を踏まえた日米協力
 
地震は、地球内部の動きに伴う地殻の変動というスケールの大きな現象に起因して発生する。したがって、地震現象の解明のためには、国際的な協力が重要である。また、世界の地震及び津波の被害の軽減のためには、多くのデータが集積され利用可能であることが重要である。このような観点から、総合基本施策では、二国間、多国間の国際協力等を通じて、国際共同調査・観測・研究、研究者等の交流、専門家会合の開催、情報交換等を積極的に推進することと、我が国の地震調査研究の成果やその他の国際的に有用なデータを広く世界に提供することとしている。

  米国は、日本と同様に地震調査研究に多くの実績がある国であり、この分野における日米両国の協力は、両国及び世界の地震の研究及び地震・津波災害の軽減に大きく役立つものと考えられる。このため、日米地震被害軽減パートナーシップ、アジア・太平洋経済協力(APEC)の枠組み等での協力も含めて、米国との地震調査研究分野での協力を引き続き推進する考えである。

(以上)

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Active Faults subject to the "Fundamental Seismic Sevey and Observation"

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