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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地震動予測地図の作成への取り組みについて
 

2 総合基本施策の策定
 
政策委員会の任務のうち、総合基本施策の策定は地震法に定められる推進本部の任務の第1号に掲げられているが、当面の推進本部の活動として、推進本部の発足に際して早期に活動を開始することが期待されていた地震活動の総合的な評価、基盤的な調査観測計画に関する検討などが先行し、政策委員会での総合基本施策の本格的な検討は、推進本部発足から約2年を経過した後に着手され、本年4月に決定された。

  総合基本施策は、今後10年程度にわたる、我が国の地震調査研究推進の基本となるものであるが、その中で、地震による被害の軽減に資するという目標に向けて、地震調査研究の成果が、国民一般や防災関係機関等の具体的な対策や行動に結びつく情報として提示されなければならないとの観点から、国として当面推進すべき地震調査研究の第一番目の課題として、「活断層調査、地震の発生可能性の長期評価強震動予測等を統合した地震動予測地図の作成」が位置づけられた。

 

3 地震動予測地図の作成についての新たな取り組み
3.1 活断層調査、地震の発生可能性の長期評価、強震動予測等を統合した地震動予測地図の作成
 
総合基本施策でその作成を位置づけた地震動予測地図(以下「予測地図」という。)とは、ある一定の期間内に、ある地域が強い地震動に見舞われる可能性を予測し、予測結果を確率を用いて示した地図である。これは、対象地域に影響を与える可能性のある全ての地震を考慮に入れて、それぞれの地震が発生した場合の強震動予測の結果と、その地震の発生確率とを、全ての地震について集積して作成される。

  具体的には、地震調査委員会は、その地震活動の総合的な評価の一環として、主要活断層の活動間隔等の調査結果、地下構造に関する調査のデータ、地震発生可能性の長期確率評価と強震動予測手法を統合し、これを作成することとしている。 予測地図の作成に向けて、総合基本施策では、特に、活断層調査、地震発生可能性の長期確率評価、強震動予測手法の高度化を推進していくこととしている。これらの検討状況と今後の課題は次のとおりである。

3.2 活断層調査の推進
3.2.1 活断層調査の実施状況
 
我が国の陸域及び沿岸域には、約2千といわれる多数の活断層が分布している。政策委員会の策定した地震に関する基盤的調査観測計画に基づき、これらの中でも、その活動が社会的」経済的に大きな影響を与えると考えられる活断層を選んで主要な98の活断層帯としてまとめ、詳細な位置、平均変位速度、過去の活動時期、1回の地震に伴う断層の変量と長さ等について、調査を実施している。

  これらの活断層調査は、通産省工業技術院地質調査所等との分担・連携の下に都道府県、 政令指定都市等により進められており、科学技術庁は活断層調査を実施する都道府県等に対し交付金を交付し、その推進を図っている。都道府県等による活断層調査においては、これまでに39断層帯について一応の調査が終了しており、現在20断層帯について調査を実施中である。

3.2.2 活断層調査結果を踏まえた活断層の評価
 
地震調査委員会では、98の主要な活断層帯について、都道府県、工業技術院地質調査所、大学、国土地理院、海上保安庁水路部等の調査結果等を収集・分析し、活断層の活動履歴や将来の活動の可能性を含めた総合的な評価進めてきている。これまでに、3断層帯(98断層帯の区分では5断層帯に相当)について評価を終え、公表した。各断層帯の将来の活動は、次のように評価されている。
・糸魚川-静岡構造線断層帯:「牛伏寺断層を含む区間では、現在を含めた今後数百年以内に、M8程度の規模の地震が発生する可能性が高い。」
・神縄・国府津-松田断層帯:「現在を含む今後数百年以内に、変位量10m程度、マグニチュード8程度の規模の地震が発生する可能性
がある。震源域は断層全体とその海域延長部に及ぶと考えられる。」
・富士川河口断層:「次回の活動は、地震時の変位量が7m程度又はそれ以上、地震の規模でいうとマグニチュード8程度、震源域は駿河湾内にまで及ぶと考えられる。また、その時期は今後数百年以内の比較的近い将来である可能性がある。」
都道府県等の活断層調査の進捗を踏まえ・地震調査委員会においては、活断層の評価を 一層推進するよう、評価体制の強化を図ることを検討している。

3.3 地震発生可能性の長期確率評価の推進
3.3.1 地震の発生可能性の長期確率評価の手法の整理
 
ある活断層に着目した場合、その断層の活動間隔・平均ずれ速度・最新活動時期・活動区間(セグメント)等のパラメータを用いて、確率という数値でその断層における地震発生の可能性を評価することができる。 地震調査委員会では、活断層の活動間隔等を用いて長期的な地震発生確率を評価する手法についての研究の現状の調査を行い、その中間成果として1999年1月に「(改定試案)長期的な地震発生確率の評価手法について」をとりまとめた。

  この報告書では、地震発生確率を計算する際に必要な様々なモデルを、日本及びその近海の同一地域で過去繰り返し発生した地震のデータを用いて検証し、さらに更新過程の各モデルの適用の良否まで議論している。更新過程として扱う地震発生間隔の分布モデルとしては、対数正規分布、ガンマ分布、Weibull分布、及び二重指数分布の4つについて検討を行っている。  

 

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