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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
国家地震被害軽減プログラムの実施改善へ向けて
 
連邦緊急事態管理庁 (Federal Emergency Management Agency)
上席地球物理学者 (Senior Geophysicist)
マイケル・マホーニー (Michael Mahoney)
 

序論
 
1997年は米国において、国家地震被害軽減プログラム(NEHRP-National Earthquake Hazards Reduction Program, 以下NEHRPとする) が設立20周年を迎えた年であった。このプログラムの改善へ向けて方向性の転換がはかられ始めた時期である。この転換はNEHRP戦略企画の進歩であり、プログラムの目標と目的、そして21世紀に入ろうとする今、これからもNEHRPが一役を担ってゆくためにどう前進すべきかを具体化するものである。

 NEHRPとNELRP (National Earthquake Loss Reduction Program 又はNEP) 両方のリード機関として連邦緊急事態管理庁(FEMA-Federal Emergency Management Agency, 以下FEMAとする)はこの2つのプログラムの目標達成を見届ける役割を担ってきた。この論文は、この方向転換の仕方と、それが最終的にどう地震の被害を軽くするかについて指示を示すものである。

 

背景
 
地震は、死傷者や被害の面で、日米両国が直面する自然災害の中でも最大規模のものである。7州を除く全米の州が何らかの地震の危険にさらされているため、我が国にとって脅威である。最近では1994年1月のノースリッジ地震が記憶に新しい。これは都心部の外辺を中心とした中規模な地震で、推定被害額は400億ドルであった。ちょうど1年後に兵庫県南部地震が起こり、日本はカリフォルニア州オークランドに酷似した主要都心部を直撃する地震の凄さを見せつけた。米国の都市部が一つ、大きなマグニチュードの地震が発生すれば、何千人もの死者が出、被害は2000億ドルに上るだろう。したがって、地震被害を少なくすることは、国全体の懸念である。

 最近、南北カリフォルニア州において大地震の可能性がかなり高まっている事が分かった。ロマプリエタ地震から10年が経過したのをうけて、USGSは今後30年間サンフランシスコ湾地域で大地震が起こる可能性は70%であると発表した。調査によると、米国西海岸北部と、南カロライナ州海岸地域での地震の可能性も高まっている。これらは、これまですでに地震の可能性を指摘されてきた、アメリカ中部のニューマドリッド断層帯やユタ州のワサチ海岸通りといった地域に追加されるものである。米国は、国家が直面する地震危険は軽減できると考えている。そのためには、連邦政府、州政府、地方公共団体、そして民間が責任を分担せねばならない。

 1997年10月、議会は条例を通過させ、その目的を「効率的な地震被害削減プログラムを立ち上げ維持することで、将来米国における地震の人命、財産の被害を防ぐこと」とした。この目標達成のため、条例でNEHRPプログラムを作ったのである。このプログラムの信条は、地震は不可避でも、地震の被害は避けられる、というものである。NEHRPは地震のリスク処理のため連邦政府が組織するプログラムである。その活動には、基本・応用研究、技術の開発と譲渡並びにトレーニングや教育、そして地震のリスク削減対策の提唱などがある。こうした活動を展開するに当たり、NEHRP各機関内での連携、又はNEHRPと他の連邦州機関、民間企業、大学、地元組織、ボランティア・プロ組織との連携がみられる。

上記の目的を達成するため、NEHRPは以下の任務を果たす。
・ 危険と、地震に対し脆弱な部分をよりよく理解して特徴付け、予知する
・ モデル建築基準と土地利用の改善
・ 地震後の調査と教育による、危険度減少
・ 設計・建築基準の開発と改善
・ 被害軽減の強化
・ 研究成果の迅速な適用

NEHRPは4つの連邦機関で構成されている。
・ FEMAは計画実施を担当し、企画調整、議会への報告といった、機関活動をリードし、
・ 米国基準・技術組織 (NIST-National Institute of Standards and Technology) は建築基準に責任を持ち、
・ 米国科学財団(NSF -National Science Foundation)は基本的研究活動を担当し
・ USGSは地球科学研究活動を担当する。

 

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