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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
準リアルタイム迅速被害査定ツールとしてのハザス(HAZUS)の能力
 

 図5、6はそれぞれこの文献の初めに記述した3つのシナリオに対応する建築物の被害、社会的損害についてHAZUSにより得られた結果を示したものである。

 図5,6は良いデータが入手でき、それを使用すると被害評価がどのくらい向上するかを明確に示している。例えば、予備的評価と比較し、ひどい被害を受けた建物の数は15倍改良され、不動産の被害損失は6倍精度が向上している。同様に、被害者予測は10分の一、避難場所は60分の一に減少している。

 これらの数値は、重要緊急対応を必要とする意味では"起こらなかった"ことを示している。

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図5. 3つのシミュレーションのHAZUS建物被害予測
図6. 3つのシミュレーションのHAZUS経済的損失予測

 

 被害や損失は地震の規模や一だけでなく、人口密度に大きく依存している。つまり、図7に示すように、建築物の形式、空間的配置、品質および地域の社会経済的構成に依存する。人口密度の低い地域に地震が発生した場合、その地域の構造基盤および生命の損失にはほとんど影響を及ぼさない。しかし、同様の地震が大都市近郊に発生すれば、重大な被害および社会的損失はもとより財政的損失が予測される。1999年10月16日に発生したヘクターマイン地震は最初のケースの一例である。世の中が次第に都市化され、人々が人口密度の高い大都市に移り住むようになると、こうした都市近辺で発生する地震は途方もない損失を引き起こすことになる。ノースリッジ地震はどちらかといえば人口密度の高い環境で発生する地震の影響を示している。ニューポートイングルウッド断層地帯に強い地震が発生すれば、ノースリッジ地震での被害の5倍から10倍の被害を引き起こす可能性がある。

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図7.地震による被害の規模に影響する因子


 シェイクマップ(ShakeMap)で作成される地震動地図を加えたHAZUSによる準リアルタイム被害評価は、資源動員と予備調査の優先順位付けなどの緊急対応計画立案者が意思決定する際に必要な情報を提供することで、著しい前進をしている。この地震発生は重大な地震に対するHAZUSの準リアルタイム評価と対応能力を実践する上で、重大な機会を与えたという意味で、幸運であった。

 

参考文献
・ Wald D 等、「TriNet シェイクマップ:南カリフォルニア地域における地震の最大地震動及び強度地図の迅速作成」 地震スペクトル、1998年
・ FMEA、「地震災害被害査定手法:HAZUS99 技術マニュアル」、FMEA文書、1999年
・ 江口等、「ノースリッジ地震の直接経済的損失:地震発生後3年の展望」 地震スペクトル、1998年

 

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