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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
横浜市リアルタイム地震防災システム(READY)について
-RE altime A ssessment of earthquake D isaster in Y okohama-
 

3.4 被害情報収集・集約システム
 「被害情報収集・集約システム」は、①市域の18区にある土木事務所には、「高密度強震計ネットワーク」の地震計が設置されているとともに、衛星通信回線によるバックアップ回線を整備している、②土木事務所は、市内の建設業者等を中心とした490社、震度5弱以上の地震が発生した場合、予め指定された緊急輸送路93路線を185区間に分けて、道路の点検や道路の陥没・崖崩れ等の被害調査を実施する協定を締結していることから、実際の道路などの被害情報を災害対策本部と土木事務所でインターネットの技術を活用することにより、パソコンで効率よく情報の収集・集約ができるように開発したものである。

  土木事務所においては、被害情報の第1報としては、被害地点を指定し、被害の種別や交通規制状況について被害地点1点につき約1分で入力するとともに、市災害対策本部では18区の土木事務所で同時に行われる入力作業を集約した形でみることができる。(図8、図9)

  その後の時間の経過に応じて第2報以降の土木事務所が入力した詳細情報については、 市災害対策本部においては必要に応じ、被害情報一覧によって検索できるようになっている。

  また、本システムは、被害推定・地理情報システムにより得られる推定震度などの被害推定結果や、データベースとして登録されている小学校や病院などの位置情報など様々な情報を重ね合わせることができることが大きな特徴となっている。

  これらの図によって、被害の生じた地点と同じ震度の地点は、同程度の被害の予測ができるなど、効率的な被害調査や災害対策活動が可能になるものと考えている。(図10)
4 リアルタイム地震防災システムの運用と活用
4.1 地震観測状況と広報
 「高密度強震計ネットワーク」が本格稼働した平成9年5月から平成11年9月までに発生した地震で、震度が3以上の地震は18回観測されており、それぞれの地震について最大計測震度と最小計測震度の差は、概ね2程度であることが確認された。(表5 また、「高密度強震計ネットワーク」により得られた地震動情報は、防災関係機関や市民などへ提供している。
-1- 気象庁への情報配信(写3)
観測点150箇所のうち、市域内18区中、各区2箇所の計36箇所から得られる地震動情報を気象庁へ配信し、区別で震度表示され報道されることとなった。
-2- ポケットベルによる情報配信(写4)
市長を含めた本市の防災関係職員を対象に、高密度強震計ネットワークと連動したポケットベルヘの情報配信を実施している。
-3-CATV及びインターネットヘの情報配信(図11)
CATV局(7社)及び、インターネット(http;//www.city.yokohama.jp)を活用し、地震観測点150箇所の震度情報を配信するとともに、市民参加型のアンケート調査も実施し、市民の防災意識の高揚に努めている。

4.2 システムを活用した調査・研究
 本市では、平成10年度から平成12年度までの3ケ年の計画で科学技術庁の「地震関係基礎調査交付金」を活用し、地下構造調査を進めている。

  地下構造調査では、各種物理探査手法による現地調査の他、「高密度強震計ネットワーク」の強震計データを活用した市域内の地下構造モデルの解析も行っている。これまでの調査で、横浜市の地震基盤深度は一様ではなく、市域の南東部及び北部で地震基盤が3.5㎞を越えるような地域が存在する複雑な地下構造であることが明らかになっており、平成12年度には、今後の調査の結果も活かし、地震の規模や震源毎に「市域内のどこがどのように揺れるのか」など科学的な根拠に基づく「強震動予測図(地震マップ)」を作成し、地震防災対策に役立てることにしている。(図12)
5 まとめ
 横浜市では、阪神・淡路大震災を契機に市長をトップとして、これまでの地震防災対策の総点検を行い、地震防災対策の強化を図ってきた。

  今回報告した「リアルタイム地震防災システム」も全庁的に取り組んできた成果の一つである。

今後の課題としては
-1- 防災訓練などにおけるリアルタイム地震防災システムの活用・習熟と、日頃から、得られる観測情報などをもとにした大学などとの共同研究の推進や、他の防災関係機関の地震防災システムとの連携の強化(写5)
-2- 地震被害推定・地理情報システムで、各局から収集した防災データを絶えず最新のデータに更新し、日常的に利用できる仕組みづくりや、市民への情報公開も含めた流通体制の確立及び既存のシステムとのネットワーク化
-3- 被害情報収集・集約システムにおける端末のモバイル化や被害状況のデジタル写真などの最新技術の採用や風水害、がけ崩れなど地震以外の災害に対する地理情報(GIS)の応用など、システムの拡張や高度化及びそれを扱う人材の育成
などが挙げられる。

 今後も、国・大学などの研究機関・防災関係機関と連携し、積極的に推進し、研究の成果を公共施設等の建築計画や地域毎の耐震設計基準の策定など、具体的な街づくりや地震防災の施策などに反映させ、「安全・安心・安定都市よこはま」「防災先進都市よこはま」の実現を図ることにしている。(写6)             

 
shimada shimada shimada
表1,2,4,5 表3 図1,2
shimada shimada shimada
図3,4,5,6,7,8 図9,10,11,12 写1,2,3,4,5,6
 

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