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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
横浜市リアルタイム地震防災システム(READY)について
-RE altime A ssessment of earthquake D isaster in Y okohama-
 

3 横浜市リアルタイム地屡防災システム(READY)の概要
3.1 システム開発及ぴ整備経緯
 平成7年4月、市長を含めた行政担当者と横浜市立大学理学部の研究者が一緒になって、横浜市域における地震発生メカニズムなどに関する研究成果に基づき、地震災害軽減対策などの地震防災を考え、かつ実行するための勉強会である「横浜市地震懇話会」を設置した。

  横浜市におけるリアルタイム地震防災システムの開発の必要性は、懇話会で議論した横浜市域内における直下型地震の発生の可能性や、阪神・淡路大震災の教訓に基づき、提案された経緯がある。(表4、写1)

本市の「リアルタイム地震防災システム」は、
-1- 地震発生直後3分で、平成9年5月から本格稼働している市域内150箇所に強震計を設置し、きめ細かな震度情報を収集、地震の全体像を把握する「高密度強震計ネットワーク」
-2- 20分後には、平成10年6月に稼働した地震観測データをもとにした地震動、木造建物被害、液状化の程度などを推定して被害の地域や程度を見極める「地震被害推定・地理情報システム」
-3- 60分後には、平成11年4月に稼働した強震計ネットワークの通信手段を活用した実際の道路などの被害情報を災害対策本部室に迅速・効率的に収集・集約する「被害情報収集・集約システム」の3つのシステムから構成される。

  また、このシステムは、本市の消防局が整備した「災害監視カメラ」、「ヘリコプター映像伝送システム」などと連携することができる平常時から「備え」ている総合的な地震防災システムとなっている。(図1)
3.2 高密度強震計ネットワーク
 「高密度強震計ネットワーク」は、市域内約2㎞間隔に強震計を24時間の監視体制である消防署・所を中心とした公共施設150箇所に設置し、観測されたデータを収集する観測センターを災害対策室、消防局、市立大学の3箇所に整備した。

  観測点と観測センター間は、NTTのISDN回線で結ぶとともに、観測センター間は、専用回線で結び、それぞれをバックアップしている。なお、各区1箇所計18箇所の観測点と災害対策室間は、衛星通信回線により通信のバックアップもしている。

  それぞれの観測センターが持つ役割分担としては、①災害対策室においては、地震の全体像を把握して、災害対策本部等の初動体制の確保や、災害対策活動の適切な判断や、指揮命令を支援する、②消防局においては、災害監視カメラやヘリテレ映像などと併せ、早期に被害状況を把握し、消防隊等を集中的に配備する、③市立大学においては、日常から地震観測記録をもとにした地震動や地盤特性等の解析・研究を進めることなどである。(図2、写2)

  なお、観測点を約2㎞間隔に150箇所とした理由、阪神・淡路大震災により被害の大きかった地域、いわゆる「震災の帯」が幅1〜2㎞であったことや、横浜市域内の複雑な地形や地盤構造等を考慮した結果である。

  地震が発生すると強震計からの地震動情報(計測震度、最大振幅、応答スペクトルなど) の第1報が自動的に観測センターに送られ、地震発生後2〜3分で150地点の震度の分布図が得られるとともに、余震の発生も考慮し最終報としての地震波形記録については、地震収束後概ね20分から150箇所の東西、南北、上下の3成分について、約90分程度で収集される。(図3、図4)
3.3 地震被害推定・地理情報システム
 「地震被害推定・地理情報システム」は、「高密度強震計ネットワーク」と連動し、地震発生直後20分で市域内の震度分布、液状化、木造建物の被害を50mメッシュ毎に推定するシステムとなっている。

  システムの具体的な特徴としては、①高密度強震計ネットワーク及び沿岸部を中心に設置した9箇所の基盤地震計(深度20〜60mの工学的地震基盤面上に設置)で観測される実際の地震情報(震度、最大速度、最大加速度、応答スペクトル等)を活用して推定を行うこと、②被害推定は、本市が所有する木造建物、地盤などのデータベースを使用するとともに地域特性も考慮し、50mメッシュ毎に評価すること、③推定された結果は、地理情報システムを活用し、各種地図データと重ね合わせることで、より視覚的な情報を災害対策本部に提供できるようにしたこと、などである。(図5)

  実際の地震による地震動の推定結果と地震体験アンケート調査の結果では、高密度強震計ネットワーク観測結果とアンケート結果は比較的一致していることや、推定結果の震度が若干高めに算出されていることなどが判っている。(図6、図7)

 

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