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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
横浜市リアルタイム地震防災システム(READY)について
-RE altime A ssessment of earthquake D isaster in Y okohama-
 
島田 勝己
横浜市総務局災害対策室長
 

(要約)
  横浜市の地震防災対策は、大正12年9月に発生した関東大震災を教訓に「災害に強い都市づくり」、「災害に強い人づくり」を念頭に都市構造の改善、消防力の強化、広域避難場所の指定、防災訓練の実施などを計画的に進めてきた。

  しかし、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、本市と同じ国際港湾都市である神戸市が、いわゆる都市直下型地震によって甚大な被害が生じたことから、改めて地震災害の軽減対策について、抜本的に見直す必要性を認識させられた。
そこで、横浜市では、阪神・淡路大震災を貴重な教訓として、危機体験が豊かな市長のリーダーシップのもと、これまでの地震防災対策の総点検を行うとともに、市民、企業、防災関係機関と連携し、ハード・ソフト両面にわたる地震防災対策を実践的・戦略的に進めてきた。

  今回報告する「横浜市リアルタイム地震防災システム」もその成果の一つであり、このシステムは、平成7年度から整備を開始し、平成11年4月から本格運用している
-1- 地震発生の3分後に、地震計ネットワークで市域内の揺れの分布など地震の全体像の把握
-2- 20分後に、被害推定・地理情報システムで木造建物などの被害状況を推定
-3- 60分後、被害情報収集・集約システムで実際の幹線道路など被害情報の収集・集約するシステムで、地震発生直後からの災害対策本部における初動の活動方針の決定を支援するとともに、日頃からは、
-1- 防災訓練などを通したシステムの活用と習熟
-2- 市民への情報公開も含めた防災データの利用
-3- 地震観測記録の解析・研究の成果を街づくりに応用するなど、多目的、総合的な地震防災システムである。

 

1 はじめに
 横浜市の地震防災対策は、大正12年9月に発生した関東大震災を教訓に「災害に強い都市づくり」、「災害に強い人づくり」を念頭に都市構造の改善、消防力の強化、広域避難場所の指定、防災訓練の実施などを計画的に進めてきた。

  しかし、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、本市と同じ国際港湾都市である神戸市が、いわゆる都市直下型地震によって甚大な被害が生じたことから、改めて地震災害の軽減対策について、抜本的に見直す必要性を認識させられた。

  そこで、横浜市では、この大震災を貴重な教訓として、市長のリーダーシップのもと、 本市の全組織を挙げて、①行政即応力の強化、②防災基盤の整備推進、③地域の防災力の強化等を柱とした実践的な地震防災対策の実施に取り組んできた。

  今回報告する「横浜市リアルタイム地震防災システム」は、地震発生直後からの情報空白時の災害対策本部における初動の活動方針の決定を支援(クラインスマネージメント)、日頃からの地震観測記録の解析・研究の成果を街づくりに応用(リスクマネージメント)する多目的なコンピュータ支援型の地震防災システムである。
2 横浜市における阪神・淡路大農災以降の地震防災対策の概要
 横浜市は、相模トラフを震源域とする南関東地震と、駿河トラフを震源域とする東海地震のM8級の巨大地震の発生が懸念される神奈川県東部に位置する長い海岸線を有する433k㎡の面積に、人口340万人を擁する政令指定都市であり、市域内は18区に分割されている。

  横浜市の地形は、丘陵地、台地、段丘、低地及び海岸部の埋立地に分けられる。横浜市の阪神・淡路大震災を教訓とした地震防災対策の強化は、平成7年2月3日に設置した「横浜市地震対策強化推進会議」により進行管理された。

この推進会議の特徴は、
-1- 市長を議長とし、助役、全局区長を委員としたトップダウン方式で議論を進めた
-2- 検討課題を短期12項目、中長期24項目の経36項目に整理し、議論の達成目標を明確にするとともに、決定した事項や事業は直ちに実行したことにある。(表1、表2)

  地震対策強化推進会議は、平成8年3月までに約1.5月に1回のペースで計9回開催さ れ、最終的に100項目を越す検討項目について取りまとめ、これらの検討成果については、平成9年3月の「横浜市防災会議」に諮問し、横浜市防災計画(震災対策編)の見直しが確定した。

  その後、「横浜市地震対策強化推進会議」を発展的に継承した「横浜市防災対策推進会議」を設置し、危機体験が豊かな市長のリーダーシップのもと、市民、企業、防災関係機関と連携し、ハード・ソフト両面にわたる地震防災対策を実践的・戦略的に進めている。(表3)

 

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