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気象庁では、国及び地方公共団体等の防災関係機関が地震・津波による被害の防止・軽減の対策や発生した被害に適切かつ迅速な対応が執れるよう、震度情報、津波予報等の地震・津波に関する情報及び東海地震予知に関する情報を発表している。現在の地震対策は、津波予報及び東海地震予知を除き、発災直後の各種対応が主であるが、これに加えて、地震発生から各地に地震動が到達するまでの間に、発生する被害そのものを防止・軽減する対策が行えれば、地震による被害を飛躍的に軽減することが可能となる。
この新たな視点に基づく地震対策のための情報を「ナウキャスト地震情報」と呼んでいる。現在、気象庁は、システム開発等、実用化調査を進めるとともに、国土庁及び自治省消防庁とともにこの情報の活用可能性の検討を行っており、その取り組みについて紹介する。
2.ナウキャスト地震情報 2.1.ナウキャスト地震情報とは 地震波には、比較的早く到着するP波(初期微動)と、遅れて到着して主要な破壊現象を引き起こすS波(主要動)がある。近年の地震観測、計算機処理、情報通信技術の進展により、震源近傍の限られた観測点のP波の観測データを処理することにより、震源からある程度離れた地域において主要動カ倒達するまでの間に、発生した地震に関する状況を逐次把握し、その情報を伝達することが可能になりつつある。このような技術的背景を踏まえ、最終的な観測情報に基づいた現在の情報を発表する前から、大地震の発生、震源要素、主要動の到着時刻及びその予測される震度等の被害の防止・軽減に必要な情報を可能な限り即時的に発表する。この情報が『ナウキャスト地震情報』である。
地震観測データから最終的な震源要素等を即時的に推定する手法等やその情報は,「リアルタイム地震学」或いは「リアルタイム地震情報」と呼ばれているが、これは,地震発生から数時間程度までの時間スケールのものを対象とすることがある。このため,地震動の予測等に関する情報を特に「ナウキャスト地震情報」と呼んで区別する。現在、気象庁が発表している地震・津波に関する情報は、まさに即時的(リアルタイム)情報であり、この観点から、発災後対応の情報を「リアルタイム地震情報」、発災前対応の情報を「ナウキャスト地震情報」と呼んで区別している。
従来から、主要動到着前の地震対策は着目されており,一部実用化されているものもある。 それらはいずれも当該地点において地震波(P波)を観測し、そのレベルがある「しきい値」以上になったときに対応するものが主で、制御するときに当該地点は既に揺れている状態にある。これに対し、ナウキャスト地震情報は、複数の観測点から構成される地震観測網を利用し、逐次、推定精度を高めて行くことにある。
2.2.ナウキャスト地震情報の種類 ナウキャスト地震情報は、その時点までに得られている全ての観測データを処理し、常により精度の高い情報に順次更新される。これら順次発信する各情報を、その発信タイミングから以下のように分類している。(図1)
「0次情報」:1観測点で地震波(P波)を検知した時点で発信。全て1観測点の観測データから推定されるものであるが、他の観測点で地震を検知していないことを事前情報として利用。 「1次情報」:3〜6観測点で地震波を検知した時点で、震源情報・予測される震度等を発信。 「2次情報」:10観測点程度で地震波を監視した時点で、震源情報・予測される震度等を発信。1次情報を高精度化した情報。 以下、高精度化された情報を,逐次、「3次情報」、…、「n次情報」と呼ぶ。
これら情報に含まれる内容は、「地震発生情報」、「震源情報」、「地震到来予測情報」、「震度予測情報」があり、主要動到着以降の地点については「実況情報」を提供する。なお,地震発生情報は、0次情報の段階でのみ発表する。
2.3.ナウキャスト地震情報の活用にあたって 可能な限り即時的に情報を発信するには、最終的な観測データが揃うまでの間においても、その時点までに観測できた範囲内のデータから逐次情報を作成することとなる。地震発生からの時間経過に伴い地震波の到達範囲が広がることから、地震波を観測しうる観測点数も飛躍的に増加し、ナウキャスト地震情報の精度も向上していく。
一方、各地域において、主要動カが到達する間での時間と揺れの激しさは、地震の発生した震源の位置からの距離に応じて、単純には比例、反比例の関係にある。このため,激しい揺れに備える必要が高い地域ほど、主要動が到着する直前に対処できる時間は非常に限られたものとなる。(図2)
これらのことから、ナウキャスト地震情報の活用にあたっては、情報の精度と発信される時間タイミング(時間的猶予)及び対応した場合の経済的損失を考慮して、その取り扱いを検討する必要がある。例えば早い段階での対応が重要で且つ、誤って対応しても経済定損失が大きくない場合は、0次情報から利用し,確実な情報でなければ対応した場合の問題が大きな場合は、0次情報は対応の準備を行なうに留め、実際の対応は1次情報から行なう等が考えられる。
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