東海地震対策

第4章 地震災害予防対策の推進

 地震による火災の発生、建築物等の倒壊等、災害の発生を予防し、又は軽減するための対策、被災者の救出のための対策、生活確保のための措置等平常時の予防対策を定める。

24−1 火災の予防対策

 東海地震発生と同時に火災の多発が予想されるため、火気等の出火危険のある物の取扱い、管理状況等を整備し、応急対策を講じ得る体制を確保する必要がある。このため、市、その他関係行政機関及び関係事業所より構成される協会(団体)、住民等が一体となって、災害予防の徹底を図るものとする。
1 一般家庭における対策
(1) 液体燃料を使用する器具
ア 器具の構造等に応じ、建築物等及び可燃性の物品から火災予防上安全な距離を保つ。
イ 可燃物が落下・接触するおそれのない場所で使用する。
ウ 器具か容易に転倒又は転落しないよう耐震措置を講ずる。
エ 移動式のストーブにあっては、ア・イ・ウによるほか、対震自動消火装置付又は自動的に燃料の供給を停止する装置を設けたものを使用する。
(2) 気体燃料を使用する器具
(1)のア・イ・ウによるほか次による。
ア プロパンガス容器は、鎖等により転倒防止措置を講ずるとともに、不使用時には容器のバルブを閉止する。
イ 特定供給設備によってガスの供給を受けるものにあっては、不使用時は屋外の元栓を閉止する。
(3) 固体燃料を使用する器具
(1)のア・イ・ウによる。
(4) 石油、ガス類等の引火性、発火性物品(以下「出火危険物品等」という。)の保管場所を検討し、転倒・転落等による出火危険を排除する。
2 工場・事業所及び不特定多数の者が出入りする施設における対策
(1) 火気使用設備(器具)
 一般家庭における対策に準ずるほか、地震発生時の燃料供給しゃ断体制を確立し、出火防止対策を特に強化する。
(2) 出火危険物品等の整備と管理
 出火危険物品等は、それぞれの性状に応じて保管、取扱場所を検討し、転倒、転落、衝撃、摩擦、混触、浸水等による出火防止措置を講ずる。
3 消防法に定める危険物製造所等における対策
 危険物施設及びその付帯設備については、耐震性の検討、施設の補強、危険物の外部への流出防止等の対策をすすめ、出火防止を図るものとする。
(1) 製造所、一般取扱所
ア 原料・製品等危険物を収納するタンクは転倒・転落及び流出しない措置を講ずるとともに元バルブは、緊急時に閉止する措置を設ける。
イ 危険物を収納した容器の転倒・転落防止及び流出防止措置を講ずる。
(2) 屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所
 タンクの元バルブは緊急時に閉止する措置を設けるとともに、スロッシングによる危険物の溢流防止の措置を講ずる。
(3) 給油取扱所、地下タンク貯蔵所、灯油専用取扱所
 地盤面上にある危険物入り容器の整理を行うとともに、けん垂式給油施設の地盤面上の配管内の危険物は、地下タンクに直ちに収納する措置を講ずる。
(4) その他の製造所等
 容器入り危険物の転倒・転落防止を行うほか、特にガラス、陶器製容器の破損、流出防止措置を講ずる。
4 市における対策
 地震発生時における、出火防止対策の指導を次により行う。
(1) 一般家庭については、24−1火災の予防対策1の事項について、家庭の防火診断時及び広報等を通じて指導を行う。
(2) 工場・事業所等については、24−1火災の予防対策2の事項について、防火対象物立入検査等を通じ対策の徹底を図る。
(3) 少量危険物貯蔵(取扱)所、指定可燃物貯蔵(取扱)所については、浜北市火災予防条例に基づく措置はもちろんのこと、地震発生時の出火防止のため転倒・転落等の防止措置を講ずるよう指導する。
(4) 消防法に定める施設については、24−1火災の予防対策3の事項につき、浜北市危険物安全協会を通じ、指導を行うとともに立入検査を実施し、対策の徹底を図る。
(5) 次に揚げる施設事業については、県その他の機関の行う指導に協力する。
ア 高圧ガス(LPガスを含む)を取扱う事業所における対策
イ ガス事業法に定めるガス事業を行う事業所における対策
ウ 火薬類取締法に定める火薬類を取扱う事業所における対策

24−2 建築物等の耐震対策

1 建築主等は、次の事項を実施し、耐震性の向上を図る。
(1) 軟弱地盤対策及び瓦等の落下物対策を講ずる。
(2) 所有する建築物等の耐震性を判断し、必要な措置を講ずる。
2 市は、次の事項を実施し、耐震性の向上を図る。
(1) 市民向けの「建築相談窓口」を設置する。
(2) 自主防災会組織活動等と連携して耐震補強等の説明会等を実施する。
(3) 建築主及び建築設計者等への下記についての啓発
ア 新築建築物
 「静岡県建築構造設計指針」、「建築設備の地震対策指針」等による設計及び工事監理等の徹底
イ 既存建築物
「木造住宅の耐震診断基準及び改修設計指針」、「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準、改修設計指針」、「既存鉄骨造建築物の耐震診断基準、改修設計指針」及び「静岡県建築構造設計指針」等による耐震診断及び耐震補強
ウ 建築設備
「建築設備の地震対策指針」等による既存の電気設備、空調設備、給排水設備等の耐震診断及び耐震補強
3 コンピュータの安全対策
  市は、自らが保有するコンピュータ・システムについて、「行政情報システムの安全対策に関するガイドライン」等の各種安全対策基準に基づき、引き続き所要の対策を推進するとともに、コンピュータを扱う企業に対し、安全対策の実施についての啓発を行う。
4 家具等の転倒防止
 タンス、食器棚、ピアノ、テレビ、冷蔵庫等の転倒による事故の防止のためその据付方法等を取りまとめたパンフレットを作成し、自主防災組織、建築相談窓口を通して市民に対する啓発指導に努める。
 また、庁舎、事務所等にあるスチール製の書棚・ロッカー等についても「手引書」を作成し、建築物の所有者・管理者等に対し安全等の徹底を指導する。
5 ガラスの飛散防止
 多数の人が通行する市街地の道路等に面する建物のガラス、家庭内のガラス戸棚等の安全対策の実施を指導する。
6 住宅等の耐震化促進融資
 建替え、増改築、修繕(補強を含む。)等により、住宅の耐震補強を促進するため、融資制度の積極的な活用をすすめる。

24−3 被災建築物等に対する安全対策

 市及び県は、「静岡県地震対策推進条例」に基づき、応急危険度判定を円滑に実施するための体制を整備するとともに、住民に対する啓発を行う。

24−4 落下倒壊危険物対策

 地震発生により、道路及びその周辺の構築物等が落下、倒壊することによる被害の予防、特に緊急輸送路を確保するため、道路管理者、その他施設の所有者、管理者等は、次によりそれぞれ道路周辺等の構築物の点検、補修、補強を行うものとする。

物件名 実施者 措置等
道路標識等 管理者 施設の点検を行い、速やかに改善し、危険の防止を図る。
枯死した街路樹樹木除去等 適切な管理措置を講ずるよう努める。
電柱、街路灯 設置状態の点検を行い、倒壊等の防止を図る。
看板、広告物等 設置者管 理者許可及び許可の更新に際し、安全管理の実施を許可条件とする。許可の更新時期に至っていないものについては、関係者の協力を求め安全性の向上を図る。
アーケード 新設については、安全性を厳密に審査する。既存のものは各施設管理者による点検補強等に努める。
ブロック 塀所有 者毎年、危険度について点検を行う。改良を要する場合又は新設する場合は、できる限り生垣づくりとする。ブロック塀を設置する場合は、安全性の高いものとする。
ガラス窓等 所有者管理者 破損、落下により通行人に危害を及ぼさないよう補強をする。
自動販売機 転倒により、道路の通行及び安全上支障のないよう措置する。
樹木、煙突 所有者 倒壊等のおそれのあるもの、不要なものは除去に努める。

24−5 地盤災害の予防対策

 市は、地盤や地形の特性から生ずる災害の発生を事前に防止するため、住民に対して災害の防止について啓発及び指導を行い、必要な対策を講ずる。
1 山・崖くずれ防止対策の推進
 山・崖くずれの危険性を周知させるとともに、急傾斜地崩壊危険予想地域等に標柱及び標識板等を設置する等、適切な方法で当該地域の危険性を広報する。
2 軟弱地盤対策の推進
 軟弱地盤が広く分布する地域においては、地震により大きな被害を受けやすいこと等を周知させるとともに、「木造住宅の簡易な軟弱地盤対策」等により必要な対策を講ずるよう指導する。
3 液状化対策の推進
 地盤の液状化が予想される地域においては、建築物等の被害を未然に防止するため地盤の液状化に関する知識の普及に努めるとともに、「木造住宅の簡易な液状化対策」等により必要な対策を講ずるよう指導する。

24−6 生活の確保

 警戒宣言の発令期間が長期化した場合及び地震が発生した場合の生活を確保するため、平常時から次の措置を行う。
1 食料及び生活必需品の確保
(1) 市
ア 非常持出しができない被災住民や旅行者等に対する食料の最低限の備蓄
イ 市内における緊急物資流通在庫調査の実施
ウ 流通在庫方式による確保が困難な物資の一部備蓄
エ 市内の緊急物資調達(資料24−6−1)〈緊急物資調達計画〉及び配分計画の策定
オ 緊急物資の集積場所の選定(原則として市民体育館とする。)
カ 市民が実施する緊急物資確保対策の指導
キ 給食計画の策定
(2) 市民
ア 7日間程度の最低生活を確保できる緊急物資の備蓄
イ アのうち、3日分程度の非常食料を含む非常持出品の準備
ウ 自主防災会等を通じて緊急物資に係る助け合い運動の推進
2 飲料水の確保
(1) 市が実施すべき事項
ア 復旧用資材の備蓄 ※(資料24−6−3)〈給水計画〉参照
イ 応急給水資材の整備 ※(資料24−6−3)〈給水計画〉参照
ウ 業者との協力体制の確立
※(資料24−6−4)〈浜北市上下水道指定工事人協同組合業者一覧表〉参照
エ 市民及び自主防災会に対し、貯水等の指導を行う。
オ その他、応急給水に必要な資機材等の備蓄
※(資料24−6−5)〈応急給水資機材等保有状況〉参照
(2) 市民が実施すべき事項
ア 家庭における貯水
(ア) 貯水すべき推量は、1人1日3リットルを基準とし、世帯人数の3日分を最低目標とする。
(イ) 貯水する水は、水道水等衛生的な水とする。
(ウ) 貯水に用いる容器は、衛生上安全性が高く地震動により、水もれ等しないものとする。
イ 自主防災会を中心とする飲料水の確保
(ア) 応急給水を円滑に実施するために、給水班の編成を準備しておく。
(イ) 非常時に利用予定の井戸・泉等の水は、水質検査を実施して、利用方法をあらかじめ検討しておく。
(ウ) ろ水器、ポンプ、水槽、ポリタンク、燃料等応急給水に必要とされる資機材等を整備する。
3 医療救護
(1) 市が実施すべき事項
ア 市が別に定める「浜北市東海地震等に対する救護計画」に基づき医療救護体制を確立する。
イ 医療救護用の資機材の備蓄及び調達の計画を作成する。
ウ 応援医師の要請、重病患者の搬出等の広域対応策を作成する。
エ 家庭看護の普及を図る。
(2) 自主防災会が中心となって実施すべき事項
ア 応急救護活動を行う救出救護班の編成を準備しておく。
イ 応急手当等看護に関する講習会を開催する。
(3) 市民が実施すべき事項
ア 軽度の傷病については、自分で手当を行える程度の医薬品を準備する。
イ 医療救護を受けるまでの応急手当等の技術を修得する。
4 清掃・防疫及び保健活動
(1) 市が実施すべき事項
ア し尿、ごみの処分地の選定及び処理計画の作成
※(資料24−6−6)〈し尿、ごみ処理等実施計画〉参照
イ 防疫実施計画の作成(一般対策編 第3章 第12節)参照
ウ 防疫用薬品の調達計画の作成(一般対策編 第3章 第12節)参照
エ 市民が行う清掃、防疫及び保健活動の指導をする。
(2) 自主防災会及び市民が実施すべき事項
ア 自主防災会は、臨時共同便所の適地を確保し必要な資機材を準備する。
イ 市民は、し尿、ごみの自家処理に必要な器具等を準備する。
5 避難所等の設備及び資機材の配備又は準備
 市は、避難所(被災者の収容施設)等に必要な設備及び資機材をあらかじめ配備し、又は必要なとき直ちに配備できるよう準備しておくものとする。
※(資料24−6−7)〈防災資機材保有状況〉参照

24−7 被災者の救出活動対策

 建物の倒壊による被災者等に対する救助活動が迅速かつ的確に行えるよう、平常時から次の措置を行う。
1 市が実施すべき事項
(1) 自主防災会、事務所等及び住民に対する地域における相互扶助による救助活動についての意識啓発
(2) 自主防災会の救助活動用資機材の配備の推進
(3) 救助技術の教育、救助活動の指導
2 自主防災会、事務所等が実施すべき事項
(1) 救助技術、救助活動の習得
(2) 救出活動用資機材の点検及び訓練の実施
(3) 地域における自主防災会と事務所等との連携体制の確立と訓練の実施

24−8 地震防災訓応急対策車両の整備

 市は、大規模地震対策特別措置第21条に掲げる地震防災応急対策に従事するものと認められている車両について、事前に必要事項の届出をするとともに制度の周知に勤める。

24−9 公共土木設備等の復旧用資材の備蓄

 市は、公共土木設備等の復旧資材の備蓄に努める。

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