防災用語1 /防災用語2
有感地震、無感地震
人間の身体に揺れを感じる地震を有感地震。身体に感じない地震が無感地震と呼ぶ。
地震の波
地震が起きると岩盤や地盤の中を地震の波が伝わる。震源から離れた場所で地震を感じると最初にガタガタと小さい上下の震動がある。そしてまもなくユサユサと大きく横に揺れる。震源から出る地震の波は、縦揺れの波と横揺れの波があり、P波と呼ぶ縦揺れの波は地面を伝わる速度が速く、S波と呼ばれる横揺れの波は速度が遅いという特徴があります。ですから、P波からかなりの時間がたってS波が到達した場合は震源が遠い、P波とS波が接近して伝わったならば震源が近いということになる。
前震 本震 余震
地震はある時間内にかたまって起きる傾向がある。そうした地震の群れの中で一番大きな地震が、他の地震より際だって大きい場合、それを本震と呼ぶ。その前に起きた地震を前震、後に起きる地震を余震と呼ぶ。
地震の中には際だって規模の大きな地震が2つ相次いで起きることがあり、これらは2つとも本震とされる。
余震確率
本震の後に起きる余震は本震直後に数が多く規模も大きい。余震は時間経過とともに回数が減少し規模も小さくなっていく。余震は本震より小さく一般的に数日以内に一番大きな余震が起きることが多い。この一番大きな余震を最大余震と呼ぶ。最大余震の規模は本震のマグニチュードを1小さくした程度である。
群発地震
群れをなして起きる地震。本震と呼ぶような大きな地震がなく、同程度の地震が相次ぐ。群発地震は短時間で終わるものから、数年間もの間活発に続くものなどさまざまである。群発地震は松代や伊豆のように火山に起因するものもあるが、三陸沖など火山とは関係のない場所に起きるものもある。
震度7
1948年(昭和23年)福井平野の直下を震源にマグニチュード7.1の福井地震が起き、死者3,769人、家屋の全壊36,184の被害を出した。この地震は震源が浅く福井地方では家屋の倒壊率が100%に近い地域も多かった。当時、気象庁の震度階は震度6が最高であったが、福井地震でそれを上回る大きな被害が出たことを契機に気象庁は「家の倒壊率が30%以上となった時」震度7とする震度階を設けた。 しかし福井地震以後、震度7に相当する大きな地震が起きず、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で初めて震度7が登場した。
深発地震
地震の震源が深さ300キロ以上のものをいう。
地震の震源の位置が、深さ70キロより浅い地震を浅発地震、深さ70キロから300キロまでをやや深発地震、300キロより深い地震を深発地震といっているが、深さの違いで地震の性質が急に変わるわけではない。
低周波地震
地震が起きた時、震源から出る地震波はいろいろな周波数の成分が含まれているが、地震の周波数が通常の地震よりも低い周波に偏っている地震を低周波地震という。低周波地震は火山に起因することや、日本の太平洋沖合に比較的多くゆっくりした断層運動による地震の際に発生する。
津波
地震の震源が海にあるとき、海底で起きた地震断層が変動することによって起きる。津波が起きたとき、沿岸では最初の海水が引く場合と海水が押し寄せる場合がある。海底が押し上げられると押し波、引き込まれると引き波となる。津波は海が深いほど早く伝わり、太平洋などでは時速700キロにもなる。1回の地震で、津波は沿岸を何回も襲う。
波源域
津波を発生させる領域。地震の震源が海底にあるとき、震源付近の海底が変動して津波が発生する。その海底の震源域が波源域でもある。
地震の再来周期
同一地域で大地震がほぼ周期的に繰り返し起きる場合がある。震源の位置や発生メカニズムが全く異なる地震が、たまたまほぼ周期的にある地域に起きることもあるが、東海−南海沖や北海道の太平洋沖などでは、ほぼ同じメカニズムに起因する地震が繰り返されている。東海地震はそのケースで、14世紀以降おおむね100年から150年くらいの再来周期で発生している。
南関東69年周期説
南関東では69年周期で地震が再来するという河角広によって1970年に唱えられた説。南関東(鎌倉)で起きた過去の被害地震(818年から1930年まで)を調べると再来周期のピークが69年になるという。69年周期説はマスメディアの話題となり世間に広がった。
しかし後に何人もの研究者から計算に有意性がない、数理的に無理がある、検定法に問題があるなど異論が出され、現在ではこの河角説は却下された格好だが、69年説があまりにインパクトがあったため、今でも一般の人々の口に上ることがある。
とはいえ、南関東が数十年に1回程度の割合で震災に見舞われてきたことは事実である。
液状化現象
地震の揺れによって地盤が液体のような挙動をとる現象。地下水を多く含んだ砂の地盤が強い地震を受けると、揺れによって砂などの粒子の間にある隙間が少なくなり、隙間を埋める水が逃げ場を失って圧力を増し粒子どうしが離れてしまう。このため粒子どうしが支え合って地盤を形成していたものが水に浮かび、地盤全体が液体のようになってしまい、本来の地盤としての役目を果たさなくなる。 この現象を液状化現象という。液状化が起きると、その上に建っている重い建物は沈み、地中に埋められた軽いタンクやマンホール、共同溝などは逆に浮き上がり地表に飛び出してしまう。液状化しやすい場所は、砂質の地盤、沼や海の近く、地下水位が浅いなどで、過去の地震の経験からみると、むかし、川や沼、水田、海岸などを埋立たり盛り土した造成地、砂丘と低地の境、砂丘の間の低地などに液状化が起きている。
1964年(昭和39年)に起きた新潟地震では、それまで良質の地盤と考えられていた砂地盤が、地震動の影響で液体状になり、アパートや橋を傾けたり破壊させる液状化現象が起きた。この新潟地震で液状化の恐ろしさを皆が知るところとなり、対策工法などが研究されるようになった。
側方流動
液状化現象に伴って、地盤が水平に数メートルもずれ、ビルの杭が折れたりすることがある。液状化現象の大規模なものである。側方流動が起きたために橋脚がずれ橋桁が落下するなどの被害が出たり、湾岸地帯では人工埠頭の岸壁が数メートルもせり出すことがある。
水準測量
2点間の地面の高さの差を求めるための測量。全国の主な国道や主要地方道などに水準点が設定されており、国土地理院は全国の地殻変動を監視するため定期的に水準測量を行っている。水準測量の結果得られた上下変動は地震や火山噴火の予兆をつかむ重要な手がかりとなっているので、東海地震に関連した駿河湾西岸など特定の地域では頻繁に水準測量が行われている。
御前崎などの駿河湾西岸では東海地震に向けて年々沈降を続けており、地震が切迫すると沈降が鈍化し、やがて隆起に転ずるといわれている。こうしたことで掛川から御前崎付近に至る水準測量が年4回行われている。
免震工法、制震(振)工法
「耐震設計」とは異なった方法で建物などの構造物を地震から守ろうというのが「免震工法」と「制震(振)工法」。
「免震」は構造物と地盤の間に免震装置を入れて地震の揺れから守る方法。免震装置として建物と地盤に間に入れる介在物としてはゴムと鉄板をサンドイッチ構造にした積層ゴムを使う方法がある。
「免震」が建物を揺れないように設計しようとするのに対して、「制震(振)工法」はコンピュータなどの技術を用いて、建物が揺れようとする時に揺れとは逆の方向に建物を移動させ地震から構造物を守る方法。
海底地震計
地震活動を精度よく観測するには震源を取り囲むように地震計がある方がいい。しかし東海沖や房総半島沖の地震は陸側からのみ活動をとらえることになり、観測精度が落ちる。そうした欠点を補うため、現在御前崎沖と房総・勝浦沖に海底地震計が設置されて、気象庁にテレメータされ24時間の監視が行われている。