防災の動き



行政主体から住民主体の避難所運営を目指して
特定非営利活動法人やませデザイン会議

1 はじめに

 岩手県久慈市は、東日本大震災や度重なる台風災害により大きな被害を経験してきました。さらに、日本海溝・千島海溝沿い巨大地震では、最大17,000人の避難が想定されています。このような大規模災害時には、行政だけで避難所運営を担うのには限界があることから、私たちは、行政依存型から地域主体型への転換を目指し、地域・行政と協働し、避難所運営体制の構築に取り組んでいます。

2 避難所開設キットの開発

 その一環として、社会福祉振興助成事業の助成を受けて取り組んだのが、県内初となる「避難所開設キット」の開発です。開設キットは、「誰でも・迷わず・すぐに」避難所を開設できるよう、役割に応じた手順書や資料、必要物品をまとめたボックスです。令和7年度は、モデル地区において、地域住民・行政・NPOが話し合いを重ねながら、避難所開設の流れや役割分担を検討し、開設キットを開発しました(写真1、写真2)。その結果、地域の実情に応じた手順書を作成することができ、避難所開設時の不安や迷いの軽減につながることが確認できました。このプロセスは、地域の特性や課題を確認し、地域住民が災害への備えを自分事として考える機会となりました。加えて、地域・行政・NPOの顔の見える関係と連携の仕組みが構築されつつあり、平時からの防災活動や地域づくりにもつながっています。

 令和8年(2026年)3月に開催した防災セミナーで取り組みを報告したところ、アンケートでは、97%が「住民主体の避難所運営が必要」、96%が「避難所開設キットが必要」と回答するなど、地域主体の避難所運営と開設キットへの理解と関心の高まりがうかがえました。

写真1 モデル地区での話し合いの様子(令和8年2月撮影)

写真1 モデル地区での話し合いの様子(令和8年2月撮影)

写真2 協働で開発した避難所開設キットと手順書(令和8年2月撮影)

写真2 協働で開発した避難所開設キットと手順書(令和8年2月撮影)

3 今後の展望

 本取り組みを通じて、地域主体の避難所運営に向けた大きな一歩を踏み出すことができました。開設キットは、避難所開設に必要な役割や手順を見える化し、特定の人だけに負担が集中することを防ぎながら、多くの住民が運営に関わりやすくするための有効なツールであることが見えてきました。今後は、開設キットの導入地区を増やしながら、地域・行政・NPOが協働連携し、大規模災害時の混乱を減らし、一人でも多くの命を守ることにつなげていきたいと考えています。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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