地域密着のラジオ放送を通じた防災教育・地域防災力の強化
総務省情報流通行政局放送業務課
1 災害時の情報入手手段としてのラジオ放送
近年、相次ぐ台風や集中豪雨等の災害により、地域住民の生命・財産が失われる被害や大規模停電等が頻発しています。災害発生時においては、災害情報や避難情報を確実に取得することが大変重要ですが、大規模災害時においては停電によってスマートフォンが利用出来なくなることも予想されます(図1)。

図1 能登半島地震発生時の状況
このような時にラジオ放送は、ラジオの受信機と乾電池があればいつでもどこでも聴くことができる、大変便利なメディアです。東日本大震災(平成23年(2011年)3月)をはじめ、これまでの大規模災害でもファーストインフォーマー(第一情報提供者)として重要な役割を果たしてきました(図2)。

図2 北海道胆振東部地震発生時の状況
2 地域密着のラジオ放送があることをご存じですか?
ラジオ放送と言えば、広範囲で聴取可能なAMラジオ放送や、県単位で存在しているFMラジオ放送をイメージされるかもしれませんが、実は地域に密着した情報発信を行っているラジオ放送(コミュニティ放送)が全国各地に存在しています。
コミュニティ放送局は平成4年(1992年)に北海道函館山に「FMいるか」が開局して以来、令和8年(2026年)2月時点で全国342の事業者がそれぞれの地域でラジオを通じて日々の情報を伝えています。そして、コミュニティ放送局の多くが地元自治体と災害時の協定を締結しており、地域のテレビ局等では網羅することが難しい地域毎の災害復旧・復興情報について、地元自治体からの正しい情報を発信する役割も担っています。
ただし、普段から地元のラジオ放送を聴いていない方が増えていますので、災害時において急に情報を得ようとしてもラジオ受信機すら持っておらず、ラジオを通じた情報の入手に気がつかないという方もいらっしゃるかもしれません。
3 地域密着放送だからできること
そこで、一部のコミュニティ放送局においては、普段の暮らしの中で地域住民(リスナー)が参加するイベントを通じて、小学生からご高齢の方々を含めた全ての年齢層に対して、まずは地元情報を発信するラジオ放送局の存在を知っていただくとともに、ラジオ放送が地域や地元団体の活動を促進するための「共生」プラットフォームとしての役割を担っているということを紹介する取組を行っているところもあります(図3)。

図3 JAふれあいフェスティバル2025
また、中には小学生に向けた新聞を通じて防災教育に貢献しているコミュニティ放送局もあります(図4)。

図4 熊本シティエフエム発行 子ども新聞
4 最後に
もしかすると、あなたのお住まいの地域にもコミュニティ放送局が存在しているかもしれません。今、多くのラジオ放送局ではインターネットでも番組を配信していますので、今後、地域の防災訓練や地域のイベント等でコミュニティ放送局の存在を知った際には、まずは是非一度、放送を聴いてみてください(写真及び図5)。きっと、地元情報に特化した濃い世界が広がっているはずです。

写真 千葉県君津市総合防災訓練(令和7年(2025年)11月8日)

図5 防災ミーティング(札幌市)
文献
図1:NHK文研ブログ「能登半島地震 被災地にどこまで情報は届いていたのか?」
図2:NHK放送文化研究所「放送研究と調査」平成31年(2019年)2月号より、総務省近畿総合通信局作成
図3:令和7年(2025年)11月開催「JAふれあいフェスティバル」(JA徳島)
図4:平成26年(2014年)9月熊本シティエフエム発行「子ども新聞」
図5:北海道札幌市西区八軒防災ミーティング2018案内チラシ
写真:令和7年(2025年)度「千葉県君津市総合防災訓練」におけるラジオ放送の様子
