防災の動き



広島市と株式会社フジタとの連携による防災力強化の取組
広島県広島市危機管理室災害予防課

1 はじめに

 広島市では、災害時に迅速かつ的確に対応するため、専門的な技術や人材、ノウハウ等を持つ民間事業者との連携・協力体制の強化に取り組んでいます。

 このうち、株式会社フジタ(以下「フジタ」という。)は、防災への取組について、「地域との共生」を重視し、とりわけ創業の地である本市に対し、様々な支援をいただいてきました。防災分野における連携を一層促進させるため、令和7年(2025年)1月には、「災害時における応急対応物資等の提供に関する協定」を締結(写真1)しました。

写真1 防災に関する協定の締結(令和7年(2025年)1月撮影)

写真1 防災に関する協定の締結(令和7年(2025年)1月撮影)

 災害時のみならず、平時から顔の見える関係づくりを進めるため、本市とフジタが連携して実施してきた取組を紹介します。

2 避難所の環境改善に向けた連携

 令和3年(2021年)8月の大雨では、広島市西区等で指定避難所を開設しました。こうした状況の中、フジタから「災害用簡易ベッド」を50基寄附いただき、避難所で活用(写真2)させていただきました。このベッドにはテント付で避難者のプライバシーへの配慮のほか、感染症対策としての効果もあり、避難所の環境改善につなげることができました。

写真2 災害用簡易ベッドを活用した避難所(令和3年(2021年)8月撮影)

写真2 災害用簡易ベッドを活用した避難所(令和3年(2021年)8月撮影)

 なお、現在は、本市の集中備蓄倉庫に保管するとともに、防災イベントにおいて、避難所生活体験のために活用するなどの取組(写真3)も行っています。

写真3 防災イベントでの災害用簡易ベッドの活用(令和5年(2023年)11月撮影)

写真3 防災イベントでの災害用簡易ベッドの活用(令和5年(2023年)11月撮影)

3 地域防災力向上の取組への支援

 平成26年(2014年)8月豪雨災害を踏まえ、本市では、地域防災力の向上を図るため、「防災まちづくり事業」として、防災士の資格取得による地域防災リーダーの養成、地域における防災訓練の支援等に取り組んでいます。当事業の財源は、全国から寄せられた寄附等ですが、財源が不足する中、フジタには当事業の趣旨に御賛同いただき、多額の寄附をいただきました。

4 普及啓発活動での連携

 平成30年(2018年)7月豪雨以降、地元報道機関と共催し、市民の防災意識の向上を図るため「広島市防災セミナー」を毎年開催しています。

 令和7年度(2025年度)は、出水期である6月に、「みんなでつくる災害に強いまち」をテーマに、地域の防災活動に積極的に取り組んでおられる自主防災組織の方、消防団員等をお迎えし、身近な防災に役立つヒントや活動事例の紹介、防災活動の推進についての意見交換を中四国地方向けのラジオ放送により行いました。

 その中で、民間事業者も地域コミュニティの構成員として、地域住民への積極的な社会貢献活動等、重要な役割を有していることから、共催者である地元報道機関の防災への取組にも協賛されていたフジタに、セミナーの中で、同社の防災への取組について紹介していただきました(写真4)

写真4 広島市防災セミナー(令和7年(2025年)6月撮影)

写真4 広島市防災セミナー(令和7年(2025年)6月撮影)

5 災害対応力強化に向けた連携

 令和7年(2025年)9月に実施した大規模災害時における防災関係機関相互の緊密な連絡協力体制を確立するための「広島市総合防災訓練」へ、協定に基づき初めて参加いただき、フジタの重機遠隔操縦ユニット「ロボQS」を活用した道路啓開作業に従事(写真5)いただきました。

写真5 広島市総合防災訓練(令和7年(2025年)9月撮影)

写真5 広島市総合防災訓練(令和7年(2025年)9月撮影)

6 終わりに

 市民が安全・安心に暮らせるまちづくりの実現に向けて、これまで本市が経験した大規模な自然災害の教訓を踏まえつつ、フジタをはじめとする民間事業者と連携して、引き続き防災力強化に取り組んでまいります。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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