不屈の大地 Build Back Betterの軌跡



平成29年(2017年)・福岡県 平成29年7月 九州北部豪雨災害からの復興

 平成29年(2017年)7月5日から6日にかけて、線状降水帯の発生により九州北部地方では記録的な大雨となりました。この豪雨により福岡・大分県の両県で死者40名、行方不明者2名、家屋の全半壊や床上浸水等が1,600棟を超える甚大な被害が発生しました。

 福岡県朝倉市の山間部に位置する松末ますえ地区では、多数の山腹崩壊に加え、大量の土砂や流木が河道を塞ぎ、洪水流が河道から土砂や流木を伴って溢れ出したことで、家屋や農地に甚大な被害が発生しました。

 復旧・復興に当たっては、被害を拡大させた流木を捕捉しやすい透過型砂防堰堤の導入等でハード面の強化が図られました。その一方で、全17戸が流失した小河内こごうち集落が砂防堰堤建設のために集落の解散を決断するに至っています。こうした経緯もあり、被災者の生活再建ではコミュニティの再生に重きが置かれ、地域の観光資源である蕎麦畑や、廃校となった小学校跡地を活用した地域活性化に取り組んでいます。

 また、朝倉市では国指定史跡の三連水車が土砂や流木により被災しましたが、関係者の努力により1カ月後には再稼働して、復興のシンボルとして地域の人たちを勇気づけました。



被災当時の朝倉市松末地区小河内集落の様子(提供:朝倉市)

被災当時の朝倉市松末地区小河内集落の様子(提供:朝倉市)

旧小河内集落に広がる蕎麦畑(令和7年(2025年)5月撮影)

旧小河内集落に広がる蕎麦畑(令和7年(2025年)5月撮影)

被災当時の三連水車(提供:朝倉市)

被災当時の三連水車(提供:朝倉市)

小河内集落跡には石碑が建立されている(令和7年(2025年)5月撮影)

小河内集落跡には石碑が建立されている(令和7年(2025年)5月撮影)


 国の史跡に指定されている「堀川用水及び朝倉揚水車ようすいしゃ群」。寛文3年(1663年)、度重なる干ばつや筑後川の洪水に悩まされていたこの地域の新田開発のために堀川用水が開削され、その後標高差があることで用水の恩恵を受けることができなかった山側の土地にも配水するために自動回転式の揚水車が設置されました。三連水車である菱野水車は寛政元年(1789年)の設置で、三島、久重の二連水車も宝暦(1751~1764)の頃設置されたとされています。いずれの水車も現役で、例年6月中旬から9月下旬の水稲作付期間に稼働しています。
国の史跡に指定されている三連水車(令和7年(2025年)5月撮影)

国の史跡に指定されている三連水車(令和7年(2025年)5月撮影)


表紙写真

 日本最古の実働水車として国の史跡に指定されている朝倉市菱野の三連水車。その姿は美しい田園風景と合わせて、観光客にも人気を集めています。平成29年7月九州北部豪雨で被災しましたが、1カ月後には再稼働して復興のシンボルとなりました。(提供:朝倉市)

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