君が地域の防災支援者となるために(災害ボランティア若年人材育成プログラム事業)
長崎県平戸市総務課危機管理班
1 はじめに
平戸市では、平成27年(2015年)に市内全てにおいて自主防災組織を結成して9年が経過しました。そして、自主防災組織の構成員の高齢化が進んでおり、大規模災害が発生した場合に、避難所の開設や運営について、自主防災組織が主体的に取り組んでいけるのかが、問題になっていました。
2 災害ボランティア若年人材育成プログラム事業
令和6年(2024年)1月1日の能登半島地震は、正月で家族が団欒している時間帯に発生しました。いくつもの避難所が開設され、TVでは、避難所運営の様子が報道されていました。そして、正月休みで地元に帰省していた大学生や若い社会人が、被災地となった地元の避難所の運営を手伝っている様子が映し出されていました。その中で、「小さい時にお世話になった近所の方も高齢者となって被災しています。彼らの困っている姿を見ているので、彼らを見放して大学や勤務先には戻れない。少しでも彼らのお世話をして、昔の恩をお返しできたら。」と答える姿がありました。
平戸市では、このような能登半島地震の被災地の若者たちの姿に感銘を受け、生まれ育った地域を支援してくれる人材を育成するため、高校生を対象に「災害ボランティア若年人材育成プログラム事業」を実施しました。この事業は、令和6年度から市単独の新規事業として公募によって実施したもので、34名の高校生が、この事業内容を修了し、修了証が渡されました。
その事業内容は、以下のとおりです。
2.1 自衛隊の協力を得た炊き出し訓練
2.2 将来目指す職種(自衛隊・消防・警察・看護師・保健師・介護士・社会福祉士)における災害時に適した対応業務等具体的な防災学習
2.3 災害を想定した机上での避難所運営訓練(HUG訓練)
2.4 役割分担した避難所運営実地訓練

避難所での炊き出しを想定しライスをよそう生徒たち(令和6年(2024年)7月撮影)

避難所運営実地訓練(発泡スチロールベッド設置訓練)(令和7年(2025年)1月撮影)
3 本事業の成果
これらの高校生に対するアンケートによると、「いつ災害が起こるか分からない今、自分の命はもちろん、大切な人、周りの人を助けられるような人材になりたい。」等の意見がありました。
本事業を通じて、高校生は、自分で自分の身を守る「自助」の力と、地域住民が皆で相互助け合いによって地域を守る「共助」の精神を育むことができ、社会貢献ができる地域に必要とされる人材の育成が図られたものと考えています。