都心南部直下地震に備える災害ダッシュボードによる防災まちづくり
東京都千代田区政策経営部災害対策・危機管理課
三菱地所株式会社都市計画企画部
1 千代田区丸の内周辺での防災計画
千代田区大手町・丸の内・有楽町地区は“大丸有地区(だいまるゆう地区)”と呼ばれており、都市再生特別措置法に基づく、都市再生安全確保計画(2015年策定・2024年4月改定)により、公民連携して同計画の更新と実践を続けています。都心南部直下地震(M7.3、震度6強)が発災した場合、大丸有地区では、帰宅困難者約4万2,000人(就業人口約35万人を除く来街者等)を想定しており、同計画では“混乱を最小限”にすることを念頭に、様々な計画・目標等を掲げており、その計画の1つに「地区内の事業者等による情報収集と情報HUB拠点」について述べています。
なお、大丸有地区は、千代田区地域防災計画(2024年2月修正)と地区防災計画(2022年3月策定)を加えた3つの防災関連計画で防災まちづくりを推進しています。
2 災害時の情報HUB機能・災害ダッシュボード
千代田区と三菱地所は、災害時の帰宅困難者対策を強化するため、連携協定を締結し、公共放送、自治体・鉄道等の発信情報、帰宅困難者等の一時受入施設の情報等を一元的に発信するサイト“災害ダッシュボード”の先行機能を、令和6年2月から社会実装しました。
多くの帰宅困難者が想定される都心の課題に対応し、帰宅困難者対策の先駆的なモデルとして、この災害ダッシュボードで、発災直後の情報難民ゼロを目指しています(図1・2)。

図1 災害ダッシュボード デジタルサイネージ版

図2 災害ダッシュボード デジタルマップ版
3 ターミナル駅周辺を情報HUBで公民連携
大丸有地区は、15駅・22路線の鉄道網を有するエリアで、災害により公共交通機関が麻痺した場合には、多くの帰宅困難者が発生すると見込まれています。災害ダッシュボードは、発災直後に駅や商業施設に掲出している二次元コードをスマートフォンから読み取ることで、千代田区からのお知らせ、災害時退避場所、一時受入施設、災害拠点病院等の情報を取得することができます。これにより、帰宅困難者の安全・安心に寄与し、滞留場所の分散等による混乱回避も狙っています。
4 災害ダッシュボード開発の経緯と今後
三菱地所は、都市安全確保促進事業(国土交通省)を活用し、①千代田区の災害対策本部、鉄道・施設事業者の課題解決、②混乱回避を重要ポイントとして、災害ダッシュボードの実証実験を重ね、機能の成長を図ってきました。
今後も、「近くに災害拠点病院がなく、災害時は救急車の到着時間が見込めない」等、更なる課題について、組織的対策とDX活用の両面から、公民連携して取り組んで行きます。
参考
三菱地所株式会社プレスリリース,2024「千代田区と災害時のDX連携協定を締結し、【災害ダッシュボード】を社会実装」.
▶https://www.mec.co.jp/news/detail/2024/02/07_mec240207_saigaidb