国土強靱化における内閣総理大臣賞及び国土強靱化担当大臣賞
内閣官房国土強靱化推進室 松本 弘
1 はじめに
強さとしなやかさを持った安全安心な国土、地域及び社会経済を構築する国土強靱化の取組を、実効あるものとするには、国や地方公共団体のみならず、経済社会活動の担い手である民間事業者の取組・活動が極めて重要です。内閣官房国土強靱化推進室では、先導的な民間の取組事例を収集し、「国土強靱化 民間の取組事例集」として冊子やホームページで紹介したり、災害等の発生時に自己の事業継続等に積極的に取り組んでいる事業者を「国土強靱化貢献団体」として認証する制度を創設する等して、民間の取組の促進を図っています。今回はその取組の一つである、国土強靱化における内閣総理大臣賞及び国土強靱化担当大臣賞について紹介します。
2 内閣総理大臣賞及び国土強靱化担当大臣賞について
内閣総理大臣賞及び国土強靱化担当大臣賞は、国土強靱化に資するまちづくり、技術・製品・システム開発、教育活動や普及啓発活動等の取組に関し、顕著な功績のあった個人、企業又は団体に対して、その功績をたたえることにより、個人、企業及び団体を含めたオールジャパンによる国土強靱化の取組を加速させ、強くしなやかな国民生活を実現することを目的として、内閣総理大臣及び国土強靱化担当大臣が表彰するものです。今年新たに創設され、ジャパン・レジリエンス・アワードで表彰されています。
ジャパン・レジリエンス・アワードは、次世代に向けたレジリエンス社会構築へ向けて強靱な国づくり、地域づくり、人づくり及び産業づくりに資する活動、技術開発、製品開発等に取り組んでいる先進的な企業・団体を評価・表彰する取組です。一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会の主催で、今年10回目を迎えました。
3 今年の受賞団体
今年のジャパン・レジリエンス・アワードは4月23日(火)に開催され、岸田総理大臣及び松村国土強靱化担当大臣も出席し、賞状の授与等が行われました。
初の内閣総理大臣賞を受賞されたのは「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」です。本団体は、NPO等の活動支援や活動調整を行う災害中間支援組織として設立された、初めての全国組織です。支援の「もれ・むら」をなくすため、支援ギャップの把握、支援団体との情報共有、支援団体間のコーディネーション等を実施されています。平成28年の設立以来、熊本地震、九州北部豪雨、北海道胆振東部地震、福島県沖地震、能登半島地震等の全国の災害で活動されています。また、災害時の活動が効果的に行われるよう、平時においても、関係機関との連携強化や訓練、勉強会、フォーラム等を実施されています。(資料1)。
初の国土強靱化担当大臣賞を受賞されたのは「株式会社エコミナミ」と「日本防災スキーム株式会社」(2社の共同受賞)です。地震時の電気火災を防ぐため、地震を感知し、電気を自動で遮断する感震ブレーカーの普及が急務な中、エコミナミは、正確性、堅牢性及び簡易性を併せ持った『感震ブレーカー瞬断』を開発・販売されました。また、感震ブレーカー普及の障害となる「夜、感震ブレーカーが作動したら照明も消え、逆にリスクが高まる」問題を解決するため、日本防災スキームは感震ブレーカーが作動しても消えない電球『いつでもランプtsuita』を開発・販売されました。(資料2)
ジャパン・レジリエンス・アワードでは両賞以外にも、グランプリ賞「清流の国ぎふ防災・減災センター」(『げんさい未来塾』)、国土強靱化地域計画賞「熊本県八代市」(『八代市国土強靱化地域計画』)等、防災・減災、国土強靱化に関する先進的な取組を行う様々な団体が表彰されています。

写真 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)の栗田代表理事と岸田総理

写真 株式会社エコミナミ・日本防災スキーム株式会社の佐藤代表取締役(中央)と松村大臣

資料1: 全国災害ボランティア支援団体ネットワークの取組内容(内閣総理大臣賞)

資料2: 株式会社エコミナミ/日本防災スキーム株式会社の取組内容(国土強靱化担当大臣賞)
4 終わりに
強く、しなやかな国民生活の実現に向けて、受賞された企業・団体を始めとした民間の皆様と連携しながら、新技術・デジタルの導入、活用を積極的に進め、防災・減災の高度化を図り、オールジャパンとして国土強靱化の取組をさらに進めていきます。
【参考】
〈国土強靱化〉 内閣総理大臣賞、国土強靱化担当大臣賞(内閣官房ホームページ)
▶https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/award/index.html
ジャパン・レジリエンス・アワード