防災の動き



緊急地震速報の利活用調査 地震の揺れから身を守っていただくために
気象庁地震火山部地震津波監視課地震津波防災推進室

1 緊急地震速報の一般提供開始から16年

 平成19年(2007年)10月1日の緊急地震速報の一般提供開始から16年余りが経過し、その意義は広く認知され、社会生活に浸透しています。その間、スマートフォンの普及が急激に進む等、緊急地震速報受信者の情報利用環境は大きく変化しました。

 気象庁は、緊急地震速報を見聞きした場合にとった行動について、聞き取り調査(利活用状況調査)を適時実施し、緊急地震速報の改善や普及啓発活動に役立てています。

2 利活用状況調査結果

 令和5年(2023年)5月5日14時42分に石川県能登地方で発生した地震(M6.5)では、最大震度6強を観測し、気象庁は7つの県に緊急地震速報(警報)を発表しました。この地域では2年以上地震が活発な状況が継続していたこともあり、5月5日の地震の緊急地震速報(警報)受信者を対象に、WEBフォームによるアンケート調査(予備調査)を実施しました。気象庁防災情報X(旧Twitter)を通じて回答を呼びかけたところ、628件の有効回答を得ました。

 その結果、警報対象地域にいた人々(302件)の約6割が、緊急地震速報(警報)を見聞きした際に「何らかの行動をとった」と回答しており、その中で最も多かった行動は、「周囲から倒れてくる物がないか注意した」り、「その場で身構えた」等の安全確保行動だったことが分かりました。また、この地震が発生したのは連休中で、旅行等で来訪していた方々も多かったと考えられますが、緊急地震速報を見聞きした際の行動については、居住者と来訪者で顕著な違いはありませんでした。これらのことから、緊急地震速報(警報)を見聞きした場合に身を守る行動をとる必要があることについては、多くの人々に認識されていると考えられます。

 一方、緊急地震速報を見聞きした際に「何もしなかった」人は約3割弱で、何もしなかった主な理由は、「そのときいた場所が安全だと思ったから・すでに安全な場所に移動していたから」や「たいした揺れではないと思ったから」でした。そして、緊急地震速報の受信時は「何もしなかった」ものの、揺れを感じて「何らかの行動をとった」回答者が少数ながら存在しており、当初自ら予想していたよりも揺れが大きく、対応が必要となった人々がいた可能性があると考えられました。このことから、緊急地震速報を見聞きした際に、より多くの方に身を守る行動を取っていただけるよう、更なる普及啓発が必要であることが示唆されています。

3 今後の普及啓発活動

 令和6年(2024年)1月1日16時10分には、最大震度7を観測する「令和6年能登半島地震」が発生し、その後も活発な地震活動が続いています。大きな地震は、日本のどこでも発生する可能性があります。日頃から、家具類が倒れたり移動したりする可能性を考えて、配置に気を付けたり固定すること、家屋の耐震化をすることで、被害を軽減することができます。また、地震が発生した場合には、家具類や照明機器等が「落ちてこない」、「倒れてこない」、「移動してこない」空間に身を寄せ、頭部を保護し、揺れによる転倒に備え、体勢を低くして身の安全を確保することが重要です。気象庁は、今回のアンケート調査結果を踏まえ、地震に備える方策や命を守る行動等について、引き続き普及啓発に努めます。

【参考】

気象庁,『緊急地震速報について』.
▶https://www.data.jma.go.jp/eew/data/nc/index.html QRコード

気象庁,『2023年5月5日14時42分頃の最大震度6強を観測した石川県能登地方の地震での緊急地震速報に関するアンケート予備調査』.
▶https://www.data.jma.go.jp/eew/data/nc/shiryo/pre-survey/pre-survey.html QRコード

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