防災の動き



仙台防災枠組中間レビュー・ハイレベル会合の概要について
内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当

1 はじめに

(1)「仙台防災枠組中間レビュー・ハイレベル会合」について

 「仙台防災枠組中間レビュー・ハイレベル会合」は、我が国が主導して2015年に採択された「仙台防災枠組2015−2030」の中間年に開催される点検会合で、2023年5月18日~19日、アメリカ合衆国(ニューヨーク)の国連本部にて開催されました。同会合は、国連総会決議に基づいて国連総会議長が主催するものであり、100以上の国から国家元首、閣僚等をはじめとする代表者が出席し、2015年3月に仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」以来、8年ぶりの防災に関する国連ハイレベル会合となりました。我が国からは、中野英幸内閣府大臣政務官が出席した他、内閣府、仙台市、国土交通省、外務省、東北大学、独立行政法人国際協力機構(JICA)等から参加しました。

仙台防災枠組2015−2030

仙台防災枠組2015−2030

(2)「仙台防災枠組2015−2030」について

 「仙台防災枠組2015−2030」は、「兵庫行動枠組2005−2015」の後継枠組として、前述の第3回国連防災世界会議において採択された、現在の防災対策の指針となるものです。同枠組では、期待される成果と目標、指導原則、優先行動、関係者の役割や国際協力等を規定しています。また、仙台防災枠組の成果とゴールの達成に向けた取組の進捗状況の評価を促進するため、7つのグローバルターゲットを設定しています(①死者数、②被災者数、③直接的経済損失、④重要インフラの損害を大幅に減少させること、⑤防災戦略採用国、⑥開発途上国への国際協力、⑦早期警戒及び災害リスク情報へのアクセスを大幅に増加させること)。

2 今回会合の概要

(1)開会式

 18日午前、クールシ第77回国連総会議長よりハイレベル会合の開会が宣言され、モハメッド国連副事務総長及び水鳥国連事務総長特別代表(SRSG)兼国連防災機関(UNDRR)長より冒頭挨拶、女性市民団体(WEDO)のムワナハミシ・シンガノ氏、本年2月に発生したトルコ南東部を震源とする地震の被災者であるムスタファ・ケマル・キリンチ氏よりスピーチがなされました。この後、クールシ国連総会議長は仙台防災枠組中間レビューの政治宣言案を紹介し、各代表団は同宣言を採択しました。

(2)本会議

 開会式終了後、“人間と自然がともに歩む道を描く(Charting liveable pathways for humans and nature)”というテーマのもと、本会議は開催されました。本会議では、ハンガリー、ガイアナ、トンガの首相をはじめ、100を超える国・機関の代表がステートメントを発表し、各国の課題や仙台防災枠組に基づいたこれまでの取組、今後の推進の加速化ために必要な取組等が表明されました。中野大臣政務官からは、2030年の同枠組の目標達成に向けた我が国の取組として、今年が関東大震災から100年の節目であることも踏まえた国内防災対策の推進、「防災の主流化」等の途上国支援の強化、「より良い復興」(ビルド・バック・ベター)等の国際連携のさらなる推進を表明しました。

本会議でステートメントを発表する中野大臣政務官

本会議でステートメントを発表する中野大臣政務官

(3)リーダーズ・ラウンドテーブル

 18日午前と午後の本会議の間に、UNDRRとクールシ国連総会議長が共催するワーキングランチが開催されました。同イベントでは10のテーブルごとにテーマが設けられ、各テーブルには各国閣僚級や国際機関関係者など10名程度が着席しました。中野大臣政務官は“リスクを考慮した投資・防災資金の確保(Risk-informed investment and financing DRR)”のテーブルに着席し、参加者と意見交換を行いました。

(4)マルチステークホルダーパネル

 19日、4つのテーマに沿ってマルチステークホルダーパネルが開催され、パネル4“防災のローカライズ(A collective responsibility - localising disaster risk reduction)”において、郡和子宮城県仙台市長がパネリストとして登壇しました。郡市長からは、東北大学災害科学国際研究所と連携した、仙台防災枠組の独自の中間評価や防災教育などの取組を発表しました。

パネリストとして発表する郡市長

パネリストとして発表する郡市長

(5)日本・インド共催サイドイベント

 18日午前、ハイレベル会合の公式サイドイベントとの位置づけである「Risk Reduction Hub」の一つとして、仙台防災枠組の後半期における災害リスク削減への投資を促進するため、本年のG7議長国の日本とG20議長国のインドの共催(JICAが運営協力)により、「防災投資」をテーマとするイベントを開催しました。同イベントでは、中野大臣政務官から開会挨拶を行い、日本・インドを含む6カ国が取組を発表しました。中野大臣政務官からは、江戸時代からの荒川の付け替え工事、川越の商人たちによる火事に強い蔵造りによる復興の取組を紹介しながら、防災投資を進めることの重要性について発信しました。また、冒頭では水鳥SRSGもスピーチを行いました。

サイドイベントで開会挨拶を行う中野大臣政務官(左)

サイドイベントで開会挨拶を行う中野大臣政務官(左)

(6)「国連水会議」サイドイベント

 18日午後、ハイレベル会合に合わせ、タジキスタン政府や水と災害に関するハイレベルパネル(HELP)等の主催により、本年3月に国連本部で開催された「国連水会議」(UN 2023 Water Conference)の成果と仙台防災枠組の連結をテーマとしたサイドイベントが開催されました。日本からは草野国土交通省大臣官房審議官、廣木政策研究大学院大学教授が登壇し、国連水会議で日本が共同議長を務めたテーマ別討議3「気候、強靱性、環境に関する水」の概要報告及び昨年4月に熊本市で開催された「第4回アジア・太平洋水サミット」での取組等を発表し、水の分野における防災の取組の重要性を訴えました。

サイドイベントで登壇した草野大臣官房審議官

サイドイベントで登壇した草野大臣官房審議官

(7)閉会式

 19日夕方、水鳥SRSG、クールシ国連総会議長より閉会挨拶がなされ、ハイレベル会合は閉会しました。

3 会合の成果

 採択された「政治宣言」では、日本からの意見も踏まえ、官民による防災投資の加速化や、気候変動による災害リスクの高まりの中での「より良い復興」の重要性などが明記されました。なお、会合の成果は、G7広島サミットのコミュニケにも明記され、日本として、各国協調の下、引き続き国際防災協力の分野でリーダーシップを発揮していく姿勢を明らかにしました。

※参考:政治宣言 採択版(英語)

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