防災の動き



大槌高校復興研究会定点観測班の歩み
岩手県大槌町防災対策課

 岩手県立大槌高等学校は、平成23年3月11日の東日本大震災津波の際、大槌町内最大の避難所となりました。一日当たり最大1,000名以上の被災者を受け入れ、平成23年8月7日までの150日間避難所として機能しました。4月上旬までの約1か月間は、学校職員と生徒が中心となり避難所運営をし、多くの高校生は自分が被災しているにもかかわらず、率先してボランティア活動に取り組みました。『大槌高校復興研究会』の名前を生徒自ら公募で決め、高校生たちが町の復興に向けてボランティア活動を活発化させました。活動のひとつである定点観測は、ガレキの中から見つかった震災前の写真をいくつも集め、平成25年4月よりそれらの写真を活用し、復興の変化の記録として、年3回同じ場所、同じ角度から約180地点撮り続けているものです。工事現場見学、町内に多くある湧水や希少植物の観察、語り部活動などを組み合わせて活動をしてきました。有志による活動のため、毎回撮影する生徒が代わります。そのため、約180の地点一つひとつが、30名の生徒によるカメラとカメラのリレーをつなげてきたことになります。

 生徒たちは、被災した町を歩きながら、大津波が町に襲来したこと、それにより甚大な被害を被ったこと、復興には時間がかかることなどを確認し、防災・減災のために何が必要なのか、一人ひとりが、自問しながらも希望と夢を描きながら活動しています。

 一方、震災から11年が経過し、あの当時4歳だった子どもたちが入学してきました。震災の記憶がおぼろげな生徒、ほとんど覚えていない生徒もいるのが現状です。そのような中、震災当時小学2年生だった生徒たちが、後世の人々に自分の命を守ってもらうため、自身の被災体験を教訓として伝承したいという思いから「防災紙芝居」、「防災絵本」、紙芝居形式のアニメーション動画を制作しました。大槌町内の小中学校で読み聞かせの活動を行ったほか、町外各地でも活動を行っています。定点観測活動から得た知見や生徒の中に芽生えた思いを胸に生徒が主体となり、様々な形で防災伝承活動を行っています。

 このような活動が評価され、ぼうさい甲子園優秀賞・奨励賞、防災まちづくり大賞総務大臣賞などを受賞し、本年には、防災功労者内閣総理大臣表彰を受賞しました。その感謝を込めて、今回活動報告を行わせていただきました。今後もより一層、防災伝承活動に努め、震災と復興の記録を、そしてそれをつなげてきた生徒たちの想いを伝え続けていきたいと思います。

平成28年5月

平成28年5月

令和4年10月 集合写真

令和4年10月 集合写真

大槌高校復興研究会定点観測

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