防災の動き



日本海溝・千島海溝地震への日頃からの備えを大切に! ~北海道・三陸沖後発地震注意情報の運用が始まります~
内閣府(防災担当)調査・企画担当、防災計画担当

はじめに

 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震については、令和4年3月、最新の科学的知見に基づく最大規模の地震・津波の想定や積雪寒冷地特有の課題を踏まえた防災対策が取りまとめられました。また、5月には、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が改正され、6月に施行されました。

基本計画について

 これらを受け、今年9月、中央防災会議での議論を経て、1道7県272市町村が「地震防災対策推進地域」に、1道6県108市町村が「津波避難対策特別強化地域」に指定されるとともに、国の「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進基本計画」(以下「基本計画」という。)が変更されました。

 これにより、想定される死者数(日本海溝沿いの巨大地震で最大約19万9千人、千島海溝沿いの巨大地震で最大約10万人と想定)を今後10年間で概ね8割減少させるという減災目標が基本計画に位置付けられました。今後は、この減災目標の達成に向けて、各地域に指定された自治体等と連携して、防災対策を進めていきます。

 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震により想定される死者数は、その大部分が津波によるものであることから、一人でも多くの人命を救うためには、住民が最大規模の津波のリスクに正しく向き合うとともに、「自らの命は自らが守る」という意識を持ち、津波から早期に避難することが重要です。今後、国や各自治体において、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を想定した津波避難訓練等を実施していくほか、防災教育や防災研修の場を活用して、津波からの早期避難を始めとした地震防災対策について周知していきます(図1)。

 住民の皆様も、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震のリスクを自分ごととして捉えて、地震への備えに万全を期すよう、避難場所・避難路の確認や、非常時の安否確認手段の確認、非常持出品の確保、津波避難訓練への参加など、自らでできる対策を日頃から準備するようにしましょう。

図1 基本計画の変更の概要

図1 基本計画の変更の概要

北海道・三陸沖後発地震注意情報について

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の2日前にマグニチュード(M)7.3の地震があったことはご存知でしょうか。日本海溝・千島海溝沿いでは、一度地震が発生した後、更に大きな地震が発生する可能性があります。特に、モーメントマグニチュード(Mw)7クラスの地震の後に続いてMw8クラス以上の地震が発生した事例が複数あることが知られています。一人でも多くの人命を救うためには、巨大地震が発生する前に、地震発生の注意を促す情報を発信し、地震発生に備えた防災行動を取ることが有効と考えられることから、今年12月16日より「北海道・三陸沖後発地震注意情報」(以下「後発地震注意情報」という。)の運用を開始いたします。

 後発地震注意情報が発信されたからといって、「必ず後発地震が発生する」ものではありません。また、この情報を発信していない場合でも突発的に巨大地震が発生する可能性もあります。

 そのため、誤認による過度な対応や心配を与えないようにすること、巨大地震が突発的に発生する場合に備えて平時からの地震への備えは徹底する必要があることなど、後発地震注意情報の性質や内容への正しい理解と適切な防災行動を国民に促すことが重要であることから、「日本海溝・千島海溝沿いの北海道・三陸沖後発地震注意情報発信に関する検討会」において、情報の発信方法、とるべき防災対応とその呼びかけ方などについて検討し、結果を取りまとめるとともに、この検討結果を踏まえたガイドラインを公表しました。

 ガイドラインには、住民、企業の方にとっても参考になるように、想定される巨大地震の概要等や、住民や企業等がとる適切な防災対応の例も記載しております。詳細は内閣府防災HPをご覧ください。

【情報発信の条件】

・一定精度のMwが計算された段階で、地震のMwが7.0以上である。

・地震の震源が、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域とそれに影響を与える外側のエリア(図2)に位置している。

【防災対応をとるべきエリア】

 最大クラスの地震により津波高3m以上、震度6弱以上が想定される地域および、防災対策の一体性から防災対応をとるべき地域(図3)

(北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の対象市町村)

【受け手に取っていただきたい防災対応】

 地震発生後1週間程度、平時よりも巨大な地震の発生に注意し、揺れを感じたり、津波警報等が発表されたりした際、直ちに避難できる態勢の準備を行い、地震への備えを徹底するなど

【発信の頻度(想定)】

 過去約100年の間に当該地域で発生したMw7.0以上の地震の発生状況から概ね2年に1回程度

図2 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域とそれに影響を与える範囲

図2 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域とそれに影響を与える範囲

図3 北海道・三陸沖後発地震注意情報発信時に防災対応をとるべき地域

図3 北海道・三陸沖後発地震注意情報発信時に防災対応をとるべき地域

●問い合わせ先

〈基本計画について〉
内閣府政策統括官(防災担当)付
参事官(防災計画担当)付
〈北海道・三陸沖後発地震注意情報について〉
内閣府政策統括官(防災担当)付
参事官(調査・企画担当)付
電話:03−5253−2111

●参考URL

防災情報のページ 

▶日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策:https://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaiko_chishima/index.html QRコード

▶北海道・三陸沖後発地震注意情報対応ガイドライン:https://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaiko_chishima/hokkaido/guideline.html QRコード



所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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