AI 技術の防災・減災への活用
〈内閣府(科学技術・イノベーション担当)〉
防災・減災において、人工知能(AI:Artificial Intelligence) 技術への期待が高まっています。
令和元年5月に防災基本計画が改正され、「情報通信技術の発達を踏まえ、AI、IoT、クラウドコンピューティング技術、SNSなど、ICTの防災施策への積極的な活用が必要」との記述が追加されました。
また、令和元年6月に統合イノベーション戦略推進会議はAI戦略2019を取りまとめ、「近年多発する自然災害に対応した、AIを活用した強靭なまちづくり」を具体的目標の1つとしました。
内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、防災・減災分野の課題である「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」(図参照)において、AI技術を活用した、津波や風水害における人的被害の軽減、災害対応機関の人手不足解消、迅速な災害対応等を目指した研究開発を推進しています。
具体的には、災害時にSNS上でAIが人間に代わって自動的に被災者と対話することにより、国民一人ひとりに避難等の情報を提供し、また、被災者等から被災状況をAIにより収集・分析する防災チャットボット、災害時にAIが人間に代わって自動的に衛星画像データを解析し、被災範囲を即時に判読するシステム、AIを活用して市町村長の避難指示・勧告の発令の判断に必要なデータを自動的かつ迅速に抽出し、地区単位でリスク指標を表示する避難判断・誘導支援システムをそれぞれ研究開発しており、今後の実用化を目指しています。
災害が多発する一方、少子高齢化により人手不足が進む日本において、AIを活用した避難支援、人手不足解消、迅速な災害対応に向けた研究開発が進むことにより、今後、南海トラフ地震等の巨大地震、スーパー台風や線状降水帯による風水害による被害を軽減し、早期復旧を実現することが期待されています。
こうしたAIを活用した防災・減災技術は、現在の災害対応を格段に深化させるものであり、その実現のため、課題を克服しつつ、引き続き研究開発及び社会実装に取り組んでいきます。

SIP「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」の概要
●戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の概要(内閣府)
▶https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/
●国家レジリエンス(防災・減災)の強化(防災科学技術研究所)