特集 降積雪期の災害に備える



特集 降積雪期の災害に備える:2018年福井県県道燃料ルート タンクローリー渋滞(左)グレーダーによる除雪状況(右)

2018年福井県県道燃料ルート タンクローリー渋滞(左)グレーダーによる除雪状況(右)
写真提供:国土交通省近畿地方整備局

歩行型ロータリ除雪機による事故の防止に向け、今冬も注意喚起を発出
〈消費者庁消費者安全課〉

消費者庁では令和元年11月13日、「除雪機の使用時の事故に注意しましょう!」と題し、降積雪が本格化する時期を前に、除雪機を使用する方への注意点をまとめて発表いたしました。人手による除雪作業の負担を軽減できる除雪機は、降積雪が多い地域では生活に欠かせない製品です。主に家庭で使う歩行型ロータリ除雪機(以下、「除雪機」という。)は、資格や免許なしで使用できるものの、雪を取り崩す回転部分(オーガ等)が覆われていない構造のため、使用に当たっては十分な注意が必要です(図1)。

図1 除雪機の各部の名称

図1 除雪機の各部の名称


●除雪機の使用時の事故に注意しましょう!
デッドマンクラッチ(安全装置)の無効化による事故が目立ちます

▶https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_024/ QRコード


1 昨年度の事故状況

降積雪量が多く、除雪機の使用が見込まれる12道県で、消費者安全調査委員会が事故情報を収集したところ、平成30年度の降雪期(平成30年11月~平成31年3月)に少なくとも54件の事故が発生していました。降雪量が多かった平成29年度の98件と比べると、件数は減少していましたが、死亡事故が2件、重傷事故も22件発生しており、引き続き重大な事故が発生する可能性があると考えられます(図2)。

図2 除雪機による事故件数

図2 除雪機による事故件数

2 事故の特徴

収集した事故情報を整理すると、①投雪口に手を突っ込み負傷する事故、②回転部分(オーガ)に巻き込まれる事故、③除雪機と壁等に挟まれる事故、④除雪機にひかれる事故、の4つに分類できました。さらにこれらの事故を詳細に分析すると、安全装置であるデッドマンクラッチを意図的に機能しない状態(無効化)にして使用していることに起因する事故が目立ちました。

3 使用者への注意点

消費者安全調査委員会の実施した調査の中で、高齢の男性が使用しているケースが多いことや、除雪機は長期間使用する製品であり、デッドマンクラッチが標準装備されていない平成16年よりも前に購入した除雪機を使用していたり、デッドマンクラッチを無効化して使用している方が少なからず存在することも分かりました。これらのことから、除雪機を使用する際には以下の点に注意をお願いします。

  1. 定期点検を行う。特に安全装置が正常に動作するか確認する。
  2. 安全装置であるデッドマンクラッチを無効化すると大変危険。絶対に無効化して使用しない。
  3. エンジンをかけたまま、投雪口やオーガに手を近づけないように。雪が詰まった場合は雪かき棒を使用する。
  4. 除雪中だけでなく、移動中や収納中にも気を付ける。特に、後進時はより注意する。
作業を行う本人だけでなく、御家族や周りの方も、除雪機による事故の危険性と事故防止のための注意点をよく認識いただき、危険な使用を見かけたらぜひ一声かけていただきたいと思います。

4 おわりに

消費者庁は引き続き、内閣府や総務省消防庁、国土交通省、経済産業省とも連携の上、幅広く周知・啓発を行ってまいります。また、除雪機の製造事業者で構成される「除雪機安全協議会」において、安全啓発のチラシや注意喚起の動画が公表されておりますので、地方公共団体の皆様におかれては、特に高齢の使用者に情報が届くよう、自治体広報への掲載や動画の有効活用について、御検討いただけますようお願いいたします。こうした取組で、今冬は除雪機による事故がなくなることを願っております。


●除雪機安全協議会
(一般社団法人日本農業機械工業会内)

▶http://www.jfmma.or.jp/jyoankyo.html QRコード

<参考>除雪機安全協議会 安全啓発チラシ

<参考>除雪機安全協議会 安全啓発チラシ



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