防災の動き



自然災害伝承碑の地図化で災害教訓を普及
〈国土地理院応用地理部地理情報処理課〉

新たに地図記号「自然災害伝承碑:伝承碑マーク 」を制定し災害教訓の周知・普及に取り組む。

平成30年7月に起こった西日本の豪雨災害の際、多くの犠牲者を出した広島県坂町にある「自然災害伝承碑」は、111年前に起きた大水害の被害を後世に伝えるために建立されました。坂町では今回の災害時に避難勧告が出されましたが、この石碑のある地区の避難率は町全体の半分にとどまりました。

自然災害伝承碑	(水害碑:広島県坂町)

自然災害伝承碑 (水害碑:広島県坂町)


石碑が建立された111年前の当時は、水害に対する備えや適切な避難行動等、住民の方の防災意識が非常に高かったと考えられます。しかし、時代の経過とともに人々の記憶は薄れ、世代を越えての記憶の継承が難しいことは、実際の避難行動からうかがい知ることができます。

国土地理院では、過去の災害の教訓伝承の重要性を鑑み、地図・測量分野からの貢献として、過去の自然災害の教訓を地域の方々に分かりやすく伝えることで、教訓を踏まえた的確な防災行動につなげ、災害による被害を軽減することを目指しています。

具体的には、全国各地に建立されている自然災害伝承碑の位置や伝承内容を地方公共団体と連携して収集し、本年6月から国土地理院のウェブ地図「地理院地図」で順次公開する取組みを行います。

「地理院地図」から公開する自然災害伝承碑の情報は、①碑名、②災害名、③災害種別、④建立年、⑤所在地、⑥伝承内容、⑦写真の7つから構成されます。

伝承内容については、災害の種類や範囲、被害の規模などを100字程度に要約した情報として掲載する予定です。

自然災害伝承碑の登録イメージ図


2万5千分1地形図においても、新たな地図記号「自然災害伝承碑」を本年9月から順次掲載していきます。新たな地図記号としては、平成18年の風車と老人ホーム以来、実に13年ぶりの制定となります。

地理院地図での表示イメージ

地理院地図での表示イメージ


公開する自然災害伝承碑の情報は、防災教育をはじめ、地域の防災力を高めるための様々な用途でご活用いただけます。例えば、①身近な災害履歴を学ぶための学習教材として小中学校などでの活用、②歩こう会などの探訪コースを設定する際の目標物とすることで、参加者が地域を歩きながら自然と過去の災害情報に触れる機会での利用、③自然災害伝承碑の情報を素材とし、児童生徒が現地調査をまじえた体験型での防災地図の作成などの活用方法を想定しています。

「自然災害伝承碑」情報の利活用イメージ

「自然災害伝承碑」情報の利活用イメージ



~地方公共団体の皆様へのご協力のお願い~
「自然災害伝承碑」は、市区町村から寄せられた情報に基づいて整備・公開します。貴市区町村管内に自然災害伝承碑が建立されておりましたら、登録にご協力をお願い致します。自然災害伝承碑の詳しい登録方法につきましては、以下のウェブサイトをご覧ください。

▶http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/denshouhi.html QRコード

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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