強靱な故郷を創り上げる
1 はじめに
我が国は、これまで数多くの災害の発生により、甚大な被害を受けてきました。このような中では、災害が発生する度に長期間かけて復旧・復興を図るという「事後対策」の繰り返しを避け、平時から大規模自然災害等に対する備えを行うことが重要です。最悪の事態を念頭に置き、国土政策・産業政策も含めた総合的な対応を「国家百年の大計」として行っていく必要があります。本稿では「、強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会を構築する「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)」について、最近の取組みを紹介いたします。
2 国土強靱化基本計画の見直し
平成26年6月に策定された「国土強靱化基本計画」に沿って、これまで政府一丸となって国土強靱化の取組みを推進してきましたが、30年度は策定から約5年が経過することに鑑み、社会情勢の変化や策定以降の災害から得られた教訓、施策の進捗状況などを踏まえ、12月に同計画の見直しを行いました(平成30年12月14日閣議決定)。
見直しは、脆弱性評価により、最悪の事態を回避するための施策群(プログラム)の現状及びその進捗状況を把握するとともに、フローチャート分析手法を用いながら、現状改善に必要な施策について、プログラム及び施策分野ごとに整理・分析して総合的に評価し、この結果及びその後に起きた災害の教訓等を踏まえて行いました。主なポイントとしては、平成28年熊本地震での長期避難者の健康悪化を踏まえた避難所の衛生環境の確保などの過去の災害から得られた知見の反映、ICTを活用した国土強靱化のイノベーションの推進などの社会情勢の変化を踏まえた反映、施策の優先順位付けを行うための15の重点化すべきプログラムの入れ替えと関連が強い5つのプログラムの新たな選定、重点化すべきプログラム等の推進を図るため、達成目標、実施内容、事業費等を明示した3か年緊急対策の策定等が挙げられます。
今後は、見直した基本計画に基づき、国土強靱化の取組みを更に加速化・深化させることにより、強靱な故郷(ふるさと)、誰もが安心して暮らすことができる故郷を創り上げていきます。

3 防災・減災、国土強靱化に向けた3か年緊急対策
平成30年は、平成30年7月豪雨、平成30年台風第21号、平成30年北海道胆振東部地震をはじめとする自然災害により、ブラックアウトの発生、空港ターミナルの閉鎖など、国民の生活や経済活動に大きな影響を及ぼす事態が発生しました。このため、「重要インフラの緊急点検の結果及び対応方策」(平成30年11月27日重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議報告)のほか、ブロック塀、ため池等に関する既往点検の結果等を踏まえ、
•防災のための重要インフラ等の機能維持
•国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持
の観点から、特に緊急に実施すべき160項目のハード・ソフト対策について、概ね7兆円程度を目途とする事業規模の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を取りまとめました。
本対策は、国土強靱化基本計画に基づき、同計画におけるプログラムの重点化・優先順位付けの考え方に従い、全45のプログラムのうち、15の重点化すべきプログラム及び同プログラムと関連が強い5のプログラムの計20プログラムに当たる施策に関して、3年間の達成目標を設定した上で取組みを行うものです。
2018年度から2020年度の3年間で、着実かつ迅速に対策を実施し、災害に強い国づくり、国土強靱化を進めることとしています。

●本対策の詳細は、以下のURLをご覧ください。
4 国土強靱化ポスターの改訂
国土強靱化の取組みは、国のみならず、地方・民間・国民が一体となって取り組んでいます。
こうした取組みを着実に進めるための一環として、全国各地で啓発ポスターの掲出をしており、国土強靱化基本計画の見直しにあわせて、啓発ポスターをリニューアルしました。
本年1月上旬以降、関係行政機関や主な鉄道駅・郵便局等で掲出していただくと伴に、災害対策基本法に基づく指定公共機関にも積極的なご協力をいただいています。
