Disaster Management News

「地区防災計画」を知っていますか?

私たちの周りには、人知では全く予測出来ない様々な自然の脅威があります。これらは何の予兆もなく突然発生し、時として甚大な被害をもたらします。昨年4月の熊本地震、8月に発生した台風10号、12月末の茨城県北部地震等、最新の科学をもってしても、いつ、どこで起こるか予測不可能な状態なのです。

近年多発する災害を振り返ってみると、日本において安全な場所はありません。私たちの住んでいる街で大災害が発生するかもしれません。それでは、予測出来ないからと諦めて、不安や恐怖感を抱きながら、ただ何もせずこのまま待っているだけで良いのでしょうか。突如として発生する災害に対し、何か手だてはないものでしょうか。

「自分の住んでいる街で、熊本地震級の災害が発生したらどうすれば良いのだろう。」

TV等で報道されたニュースを見て、このような恐れを抱いたことはないでしょうか。誰でも一度は考えることですが、災害が過去のものになると忘れてしまいます。ここで冷静になって考えてみると、確かに災害の発生時期は誰もわからないが、日本各地で頻発に起きている災害を検証し、最も被害を少なくするにはどうすれば良いかと考えることは出来るということに気が付きます。「過去の災害状況はおおむね把握した。(では、その対処方法はどうすれば良いのか。)」先ず誰もが思うのは、「大災害は自分で何とかするのは無理。とにかく自治体の救助を待つしかない。」しかし、本当にその考えは正解でしょうか。もし自分が家屋の下敷きになってしまった場合に救助は間に合うでしょうか。(もし日本の各地で広域に災害が起きていたら、自分は後回しになるのでは。)

こう考えてみてはどうでしょうか。海外旅行に行く時の気持ちと同じです。何らかの危険性を予期しているのであれば、先ず自分で準備出来ることはないか。被害を受けない様に、自ら何か行動を起こしてみることが必要ではないでしょうか。

「救助(公助)を期待するばかりではなく、普段から何か自分達で出来ること(自助・共助)はないだろうか。」

内閣府では平成26年4月より「地区防災計画制度」を開始し、こうした減災活動を支援しています。この制度の特徴は、地域のことに詳しい地区居住者等が作成する「地区の特性に応じた計画」であり、その計画を市区町村の地域防災計画の一部として住民側から提案できるボトムアップ型であることです。計画を作成するだけではなく、計画に基づく防災活動が実際に実践され、定期的な評価や見直しが継続的に行われることを重視しています。

地区防災計画制度の概要
石川県加賀市三木地区の事例

「住民発意による計画策定の動き(試行錯誤)が全国各地で開始されています。」

近くに住む住民同士が集まって、先ずは自分が抱いている災害への不安を共有してみましょう。そして、その不安を解消するために自分達の手で何が出来るか話し合い、その解決方法について考えてみる。避難場所はご存知でしょうか。そこに到達するまでのルートはどうか。到達するまでに危険箇所はないか。全くわからないから地元の行政に聞いてみよう。これらの情報を共有するにはどうやって皆に伝えれば良いのか。そういえば、家族と集合する場所を決めていない。こうしてみると課題が次から次へと出てきます。その一つ一つを皆で考えることが「地区防災計画」策定の始まりであり、またその目的となります。「○○計画」というと何やら大変堅い印象を受けますが、どうしたら自分と家族を守れるか考えること、そして少しでも周囲の人々も助けられないかという思いやりがその中核にあります。

その際重要なことは、ただ自分一人が空想的に計画を立てれば良いというものではありません。周囲の人々の協力及び同意が必要です。阪神・淡路大震災の際、約8割が自力ではなく共助により救出されているという研究結果があります。地域住民で協力し合う行動がいざというときに役に立ちます。ただし、多くの人を巻き込む必要はありません。最初は、計画に賛同してくれるご近所の間柄の範囲で構いません。賛同者で避難場所までの避難訓練を実施し、その実行性を確認してみると良いでしょう。週末を使って、避難場所等でカセットコンロや備蓄食を持ちよって楽しくキャンプしてみる(※)。週末レジャーとして楽しむことで、いざという時の心構えの共有が簡単に出来ます。
※場所によっては煮炊き等を禁止している場合がありますので、事前に各自治体にご確認下さい。

内閣府では、平成26〜28年度の事業として地区防災計画の策定に取り組む「地区」をモデル地区として44ヵ所選定し、専門のアドバイザーを派遣、策定へのアドバイスを行う等様々な支援を行ってきました。

各地区の活動(取組の詳細)は内閣府のホームページ(防災情報のページ「みんなでつくる地区防災計画」)で紹介しておりますので、是非一度ご覧下さい。(https://www.bousai.go.jp/kyoiku/chikubousai/

〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当〉

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内閣府政策統括官(防災担当)

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