Disaster Management News―防災の動き

「第7回アジア防災閣僚級会議」がインド・ニューデリーで開催

2016年11月3日から5日にかけて、インドのニューデリーにおいて、インド政府(内務省)及びUNISDR(国際連合国際防災戦略事務局)の主催による「第7回アジア防災閣僚級会議」が開催されました。

この会議は、アジアにおける災害被害軽減のための取組の成果と課題を総括するために、2年に一度開催される防災閣僚レベルの会議です。また、今回は2015年3月に仙台市で開催された、「第3回国連防災世界会議」において採択された「仙台防災枠組2015−2030」について、アジア各国での実施状況や推進方策についても議論することを目的に開催され、アジア・太平洋各国の閣僚級をはじめ、51カ国の政府関係者、国際機関、地域機関及びNGO等から約4500名が参加しました。「地域のレジリエンスに向けたリスク配慮型成長」を会議全体のテーマに様々なセッションやブースが設けられ、5日には初めての「世界津波の日」を祝う記念式典が盛大に催されました。そして最後に、「防災とレジリエンスに対する決意を新たにし、過去の災害を教訓として生かす」「仙台防災枠組の実施促進の必要性を認識し、7つのグローバルターゲット(災害による死者数の削減等)の達成を確実にするための戦略を作成する」などを参加各国、機関に呼びかける「ニューデリー宣言」を採択して、会議は閉幕しました。

日本政府からは、羽深成樹内閣府審議官が代表として出席し、「効果的な災害対応への備えの向上と、復旧・復興過程における『より良い復興』」をテーマとしたテクニカルセッションの議長を務めるなどしました。また、国会議員代表団として、二階俊博自民党幹事長、林幹雄前経済産業大臣、平野達男元防災担当大臣が出席し、2日にプレ・イベントとして開催された「世界津波の日」スペシャルセッションや開会式において、津波防災や事前投資の重要性などについてスピーチを行いました。

世界津波の日記念式典

概要

1.開会式

開会式では、インド政府からナレンドラ・モディ首相が出席し演説を行いました。首相はその中で、仙台防災枠組の推進を訴えるとともに、インド国家災害対策庁(National Disaster Management Authority)が国家災害対策計画(National Disaster Management Plan)を本年6月に公表したことなどを紹介しました。日本からは、二階自民党幹事長が登壇し、同スピーチにおいて、「世界津波の日」の制定の意義や、11月25日から高知県黒潮町で開催される「世界津波の日・高校生サミット」などについて言及しました。

世界津波の日スペシャルセッション

2.閣僚級セッション

閣僚級セッションでは、日本政府を代表して、羽深内閣府審議官からスピーチを行いました。同スピーチにおいては、「世界津波の日」の制定を歓迎し、津波防災の普及啓発の重要性を指摘した上で、本会議の議題である「コミュニティのレジリエンスの強化」に関連して、①ソフト・ハード両面からの防災投資の重要性、②防災に対する住民参加の重要性、③「より良い復興」の推進について、具体例として住民が災害リスクを理解し、それに応じた対策を自ら立案する「地区防災計画」制度などを紹介しつつ、日本の考えを述べました。

3.テクニカルセッション

期間中、6つのテクニカルセッションが開催されました。そのうちのひとつ、「効果的な災害対応への備えの向上と復旧・復興における『より良い復興』」をテーマとしたセッション4において、日本政府代表の羽深内閣府審議官が議長を務めました。伊藤敬幹仙台市副市長を含むアジア・太平洋地域の計6人のパネリストの参加を得て、「国境を越えた協力関係」、「より良い復興」、「国及び地方における災害対応力の強化」をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。本セッションの成果として、羽深内閣府審議官から、①「より良い復興」は被災後によりレジリエントなコミュニティを作るために重要な概念であること、②応急対応や「より良い復興」を効果的に実施する上で国と地方の協力関係を強化していくことが重要であること、③災害対応や「より良い復興」に対して、民間の産業界、NGO、市民社会が重要な役割を果たすこと、④災害リスク管理のためには防災に関する地域間協力を推進することが不可欠であることを指摘し、翌日のサマリープレナリーセッションにて本セッションの成果を発表しました。

4.二国間会談等

期間中、本会議に参加している主要な国や機関との会談(日本政府はすべて羽深内閣府審議官が対応)を行いました。

インド内務省における、キラン・リジジュ内務担当閣外大臣との会談では、今後高いレベルでの交流が継続されることを期待する旨、発言がありました。さらに、タイ、ベトナム、インドネシア、ニュージーランドの閣僚レベルとも個別に会談し、各国の災害における日本の支援に対する感謝の意が伝えられるとともに、今後の協力等について、意見交換を行いました。また、ロバート・グラッサー国連事務次長兼事務総長特別代表(SRSG)との会談では、「仙台防災枠組」推進のためのモニタリング体制の整備や、日本政府からの拠出金の有効活用について要望しました。SRSGからは、同枠組の指標・用語集作成に係るOEIWG(政府間専門家作業部会)での日本のリーダーシップに感謝の意が示され、指標については実現可能なものとなるよう、関係各国の合意に向けて努力していきたい旨などの発言がありました。

インド政府との会談

今後、「仙台防災枠組」の目標達成に向けた指標を整備していくこととなっています。日本政府としては仙台防災枠組のグローバルターゲットの達成に貢献し、「防災投資」の重要性や「より良い復興」に係る知見の共有など、引き続き各国と連携して、「仙台防災枠組」のさらなる推進に向けて取り組んで参ります。

〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当〉

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.