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特集 共助による支援活動

東日本大震災では数多くのボランティアが支援活動に参加し、被災地の復旧・復興に大きく貢献しています。今回の大震災は、災害時に市民が互いに助け合う「共助」の大切さを、あらためて認識する機会となりました。
内閣府が実施した調査をもとに、災害の被害を軽減する共助の取組を今後さらに広げるために、何が必要かを考えます。

東日本大震災の被災地で家の片付けを手伝うボランティア(ロイター/アフロ)

東日本大震災の被災地のための募金活動するボランティア(相澤正 撮影)

平成25年10月、内閣府は「東日本大震災における共助による支援活動に関する調査報告書 〜支援側及び受援側の意識の変化について〜」を公表しました。
報告書は、東日本大震災で支援活動を行った「支援側」と、支援を受けた「受援側」に対して実施したインターネット調査の結果を分析し、共助による支援活動の裾野を広げていくための課題を検討しています。調査人数は支援側及び受援側ともに3000人で、調査地域は支援側が全国、受援側が青森、岩手、宮城、福島及び茨城となっています。

支援側に対する調査

支援活動の実施と種類
全国の調査対象者の約6割が、東日本大震災に関連して支援活動を行ったと回答しています。その支援活動の種類として、最も多かったのが「義援金の提供」、次いで「被災地産品購入」となっています(図表1、図表2)。

図表1 東日本大震災に関連した支援活動の実施の有無

図表2 東日本大震災に関連して行った支援活動の種類

支援活動を開始した時期
東日本大震災の発災後に支援活動を行った人の中で、発災後から1ヵ月以内に活動を始めた人は、約半数を占めています(図表3)。

図表3 支援活動を開始した時期

支援活動の契機となった情報源
支援活動を行う契機となった情報源は、「テレビ」(38.4%)が最も多く、次いで「インターネットのサイト、SNS等」(17.1%)、「所属する企業・団体・学校等」(16.7%)、「家族・友人等」(14.0%)の順となっています。

支援活動の満足度
支援活動を行った人のうち、活動に「満足」又は「やや満足」と回答した人は、78.7%(「満足」17.1%、「やや満足」61.6%)と高くなっています。一方、支援活動に「不満」又は「やや不満」と回答とした人は21.3%(「不満」2.4%、「やや不満」18.9%)となっています。
活動に「満足」又は「やや満足」と回答した理由としては、「自分の考え通りに行動できた」(36.4%)、「被災者と接点が持てた」(30.7%)、「感謝された」(10.9%)等、支援活動の成果を重視する回答が多くなっています(図表4)。
一方、活動に「不満」又は「やや不満」と回答とした人の理由としては、(自分が考えるような)「十分な行動がとれなかった」(61.5%)、「(行動した)「成果が分からない」(32.7%)、「被災者との接点がない・不十分」(26.5%)等成果が出ていないことを理由とする回答が多くなっています。

図表4 支援活動に満足・やや満足の理由

支援活動の活性化に必要なこと
今後、災害発生時の支援活動等防災における共助の取組を活性化するために必要だと考えることとしては、「支援側と受援側のマッチングの仕組み」(49.8%)、「地域社会での受入れの促進」(32.8%)、「資材や場所の提供」(27.2%)、「寄付や助成金等経済的支援」(26.3%)、「地域・地区の防災計画への盛り込み等行政等の受け入れ体制強化」(25.7%)、「講座・イベント等」(21.6%)、「リーダーの育成・組織作り」(15.4%)等があがっています(図表5)。

図表5 支援活動等共助の取組の活性化のために必要なこと

受援側に対する調査

受援経験の有無と受援の内容
東日本大震災の被災地の調査対象者に、ボランティア活動等の支援活動を受けたか否かについて尋ねたところ、「受けた」と回答した人が33.4%、「受けていない」と回答した人が66.6%となっています(図表6)。
「受けた」と回答した人が、支援側から受けた支援の内容としては、「物資の援助」(50.8%)、「物資の仕分け・運搬又はその補助」(39.8%)、「炊き出し」(28.4%)、「資金支援」(23.6%)、「被災地に関する情報収集と発信(HP、ブログ、広報紙作成等)」(16.8%)等と答えています(図表7)。

図表6 受援経験の有無

図表7 受援の内容

支援活動に対する満足度とその理由
受援側のうち、支援活動に「満足」又は「やや満足」と回答した人は83.9%(「満足」62.9%、「やや満足」21.0%)と高くなっています。
支援活動に満足した理由として、「時期が良かった」(44.9%)、「誠意が伝わった」(41.4%)等があがっています(図表8)。

図表8 支援活動に満足した理由

支援継続を希望する期間
受援者が支援の継続を希望する期間については、発生当日〜1か月以内を希望する人の合計が約半数にのぼり、発災後の速やかな支援が望まれていることがわかりました(図表9)。

図表9 支援継続を希望する期間

支援活動の活性化に必要なこと
今後、災害発生時の支援活動等防災における共助の取組を活性化するために必要なこととしては「支援側と受援側のマッチングの仕組み」(58.3%)、「地域社会での受入れの促進」(38.7%)、「資材や場所の提供」(31.6%)、「地域・地区の防災計画への盛り込み等行政等の受け入れ体制強化」(30.9%)、「寄付や助成金等経済的支援」(23.2%)、「リーダーの育成・組織作り」(19.0%)「講座・イベント等」(18.0%)等があがっています(図表10)。

図表10 支援活動等共助の取組の活性化のために必要なこと

まとめ

東日本大震災の発生直後から、共助による支援活動が大規模に行われました。今回、東日本大震災での支援側と受援側に対して行われた調査の結果は、今後、災害が発生した時に、共助による支援活動を広げるための参考にもなります。その主なポイントとして、次のような点があげられます。

現地での活動のほか、中間・後方支援活動を行った人も多い
支援活動の種類については、現地での活動のほか、義援金の供出、被災者産品購入、募金活動、物資の援助等被災地以外での中間・後方支援活動に取り組む人も多く、受援側にとっても、現地での支援活動及び中間・後方支援活動の双方が印象に残っています。今後は双方に対する環境整備を積極的に進める必要があります。

発災から1か月以内の支援活動が重要
支援活動の時期については、支援側の半数が1か月以内に活動を開始しているほか、受援側の半数が発災から1か月以内の支援継続を希望しており、発災後できるだけ早く支援活動に取り組める環境を整備する必要があります。

ICT等による情報発信が大きな役割
支援側において支援活動を行う契機となった情報源としては、テレビのほか、インターネットのサイト、SNS等が多くなっています。一方、受援側においても、ホームページやブログを含むICT等を利用した情報収集と発信による支援が印象に深く残っています。このように、ICT等による情報発信は、支援側・受援側の双方にとって大きな役割を果たしており、災害時に関係情報を容易に発信できるような環境を、今後さらに整備する必要があります。

「マッチングの仕組み」が重要
災害時の共助による支援活動を活性化させるために必要なこととしては、支援側及び受援側ともに、「支援側と受援側のマッチングの仕組み」が重要であるという意見が多く、支援側の思いと被災地のニーズをICT等によって効率的につなぐ仕組みが必要です。

なお、「東日本大震災における共助による支援活動に関する調査報告書 〜支援側及び受援側の意識の変化について」は次に掲載されています。
http://www.bousai-vol.go.jp/kyojo/201310report.pdf 別ウインドウで開きます別ウインドウで開きます
(内閣府防災担当 三浦光一郎・西澤雅道・筒井智士)

東京で開催されたイベントで、被災地の産品を購入する人たち

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