Disaster Management News—防災の動き

津波防災の日講演会2012

11月5日に、ベルサール神保町(東京都千代田区)にて、津波防災の日講演会2012が開催されました。

最初に、語り部・崎山光一さんによる、津波防災の物語『稲むらの火』の”語り”がありました。『稲むらの火』の主人公である、濱口梧陵の行動やそこから得られる災害教訓について話され、昭和12年から22年の間、この物語が小学校五年生の国語の教科書にも掲載された作品であるとのご紹介がありました。また、会場では当時の教科書を再現した冊子が配布されました。

次に、東京大学大学院教授の目黒公郎さんより『災害レジリエンス(resilience)の高い社会の実現』について、学術的観点から講演がありました。「レジリエンスとは、災害が発生しにくい環境を作ること。万が一災害が発生した場合には、しなやかに速やかに、回復する環境を整備すること」として、今後の防災対策を考える上で重要なことは、災害状況をきちんと想像、イメージできる人々を作ることであると話されました。

私たちは、災害レジリエンスの高い社会インフラや施設の建設と、教育による災害レジリエンスの高い人材づくりによって災害に強い社会をつくることができること、バランスの取れた対策をきちんと講ずることによって、被害を大幅に減らすことが可能であることが伝えられました。

崎山光一さん

目黒公郎さん

次に、モンベルグループ代表である辰野勇さんより「モンベルグループと東日本大震災」について講演がありました。アウトドアでは、自然の危険な状況に身を置くため、必然的にリスクマネジメントは必須となり、同グループが阪神・淡路大震災被災時の経験やアウトドアでのノウハウを生かして、東日本大震災で支援を行ったことについてご講演いただきました。全国の店舗にあるレジカウンターに「毛布一枚、カップラーメン一箱、なんでもいいから持ってきてください」と呼びかけるなど、社を挙げて被災地支援を行ったそうです。また、東日本大震災を契機に開発した、普段は座布団として、緊急時は救命胴衣として利用できる、「浮くっしょん」の開発秘話についてもお話いただきました。
次に、清水建設株式会社主任研究員の長谷部雅伸さんより、「津波防災に関する最新技術」について講演がありました。平面的ではなく、立体感を持った三次元的な計算手法を用いた「三次元津波遡上シミュレーション」や東日本大震災を受けて設計した「津波BCPビル」、津波に強い町づくりの新たな提案「グリーンマウンド」といった最新技術のご紹介がありました。

辰野勇さん

長谷部雅伸さん

この日の締めくくりとして、フリーアナウンサーの生島ヒロシさんより、防災士資格を取得することになったきっかけや東日本大震災におけるご自身の体験談についてご講演いただきました。

生島ヒロシさん

津波防災の日

昨年6月、津波による被害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする「津波対策の推進に関する法律」が制定されました。この法律において、11 月5日は「津波防災の日」と定められ、国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい行事を実施することとされました。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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