Disaster Management News—防災の動き

中央防災会 
防災対策推進検討会議 中間報告
〜東日本大震災の教訓を活かし、ゆるぎない日本の再構築を〜

未曾有の甚大な被害をもたらした東日本大震災における政府の対応を検証し、同大震災の教訓の総括を行うとともに、首都直下地震や東海・東南海・南海地震(いわゆる「三連動地震」)等の大規模災害や頻発する豪雨災害に備え、防災対策の充実・強化を図るため、平成23年10月に中央防災会議に専門調査会として「防災対策推進検討会議」(座長・内閣官房長官)を設置し、検討を進めてきましたが、平成24年3月7日に中間報告をとりまとめました。以下その概要をご紹介します。
なお、全文は左記サイトをご参照下さい。
https://www.bousai.go.jp./pdf/chukan_hontai.pdf (PDF形式:448.1KB)別ウインドウで開きます

第1章
日本の持続的な発展に不可欠な防災対策

我が国は災害を受けやすい条件下にあり、持続的な発展には防災対策が不可欠であることを整理した。

◯ 日本は世界的にも地震・火山・水害等の災害を受けやすい国。
◯ 近い将来、南海トラフの巨大地震や、首都直下地震等の発生が懸念されている。
◯ 東日本大震災では、複合災害に見舞われた。政府の体制や指揮命令系統の検討や、優先順位の明確化、担当主体の決定等の調整が必要。
◯ 東日本大震災によって日本列島の応力状態に大きな変化が生じ、他の大規模地震や火山噴火を誘発するおそれがあるなど、日本列島は3.11以降大きく変化。
◯ 国力の衰退が危惧されている中、大規模な災害に見舞われると、我が国の経済社会は立ち直りのきかないほどのダメージを受けるおそれ。
◯ 日本の持続的発展のために、災害の発生による被害を最小限にする「減災」を進め、早期回復を図ることが防災対策の使命。

第2章
東日本大震災から学ぶもの  〜貴重な教訓や課題〜

東日本大震災における対応の教訓や課題を、災害応急対策、生活再建や復旧復興、災害予防の観点から検証し、以下の7項目にとりまとめた。

◯ 災害を完璧に予想することはできなくても、災害への対応に想定外はあってはならない。楽観的な想定ではなく、悲観的な想定を行うべき。
◯ 発災直後に十分な情報を得て対策を行うことはできない。不十分な情報をもとに対策を行うための備え、訓練が必要である。
◯ 災害対策に当たっては、ハード・ソフトの様々な対策により被害を最小化する「減災」に向け、行政のみならず、地域、市民、企業レベルの取組を組み合わせなければ、万全の対策がとれない。
◯ 甚大な被害が広範囲にわたったため、住民の避難や被災地方公共団体への支援等に関し、広域的な対応がより有効に行える制度の必要性が痛感された。
◯ 阪神・淡路大震災で多くの教訓を学んだつもりであったが、地震動による教訓であり、津波による教訓はなかった。東日本大震災においても、津波による教訓だけに着目するのではなく、被害が広域にわたったことや地震動による教訓等にも着目しなければならない。
◯ 災害対策に当たっては、地域性と歴史性を踏まえることが必要である。
◯ これらの教訓・課題については、今までのようにそのときだけの議論に終わらせず、防災教育等を通じて後世にしっかりと受け継いでいく並々ならぬ努力が大切。

第3章
「ゆるぎない日本」の再構築を目指して 〜大震災の教訓・課題を受け、行うべき防災対策の全般的見直し〜

第2章における教訓・課題を踏まえ、今後行うべき防災対策について提言。

◇災害から生命を守るために
  ・ 円滑な避難のための情報伝達システム、避難者の安否情報システムの高度化検討
  ・ 災害派遣医療チームの活動内容等の見直し
  ・ 物資輸送は被災地の要請がなくても送り込む「プッシュ型」の構築、民間との連携に留意

◇ 被災地を支える体制づくり
  ・ 大規模災害時における都道府県や国の調整による地方公共団体間の支援の仕組みの強化やそのための受援計画の明確化
  ・ 都道府県が広域避難に関する指示・調整を行うことができる仕組みの確立
  ・ 市町村機能が著しく低下した場合や災害緊急事態における都道府県や国の対応のあり方を検討

◇ニーズに応じた避難所運営
  ・ 避難所の位置付けの明確化

◇スピード感、安心感がある被災者支援
  ・ 体系的な被災者支援制度への見直し検討
  ・ 心のケア・生活不活発病対策の円滑化
  ・ 各段階での災害時要援護者への配慮
  ・ 各段階での男女共同参画の視点の重視

◇住まいの再建
  ・ 応急仮設住宅として民間賃貸住宅を借り上げる際の取扱いの整理

◇ 復旧・復興をスムーズに成し遂げるための仕組み
  ・ 復興の枠組み検討と震災時の特別対策で有効なものは直ちに発動できる方策の確立

◇大災害を生き抜くための日頃からの備え
  ・ 最大クラスの地震・津波の想定
  ・ ハード・ソフトが一体となった「減災」や「自助」、「共助」の明確化検討
  ・ 様々な組織・機会での防災教育、教訓の伝承・定着、訓練の推進
  ・ 多様な主体(国・地方・民間・ボランティア・自治組織等)の連携協働による社会の総力を挙げた対策強化

◇国境を越えた教訓の共有
  ・ 諸外国の防災力の向上に向けた情報発信

◇ 発生が懸念される大規模災害に向けた備え
  ・ 南海トラフの巨大地震に向けた対応…被害シナリオを踏まえた対策の見直し
  ・ 首都直下地震に向けた対応…関東大震災クラスの想定、首都中枢機能の確保
  ・ 火山災害に向けた対応…観測体制の充実等、監視・観測のあり方、大規模火山噴火対策について
  ・ 大規模水害に向けた対応…広域避難、地下空間の浸水への対応
  ・ 複合災害への対応…複合災害に備える体制や対策等を検討

第4章
最終報告に向けて

最終報告に向けて実施すべきことを整理した。
○ 災害対応体制や法制度の改善を含め、具体的な内容を詰められるものから、最終報告を待たずに政策として実現
○ 徹底的な検証の継続
○ 具体的な対応について引き続き議論し改善、拡充
○ 実施状況の継続的な把握・点検

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