Disaster Management News—防災の動き

地方都市等における地震防災のあり方に関する専門調査会報告

近年、新潟県中越地震(平成16年10月)、新潟県中越沖地震(平成19年7月)、岩手・宮城内陸地震(平成20年6月)など、主として地方都市等が被災する地震が頻発し、人的・物的な被害に加えて土砂災害に伴う交通の寸断や情報通信の途絶による孤立集落の発生など大きな被害に見舞われた地域が多い。また、地方公共団体は地震災害対応に不慣れな場合も多く、対応に混乱が生じている事例も見られており、全国のどこでも発生が想定される大規模地震に対して、事前の備えや災害時の円滑な対応など様々な対策の充実を図ることが喫緊の課題となっている。さらに、高齢化や過疎化といった地方都市等に特有の課題が地震発生時の被害や復旧・復興対策等に大きな影響を与えていることが明らかになっており、それらを踏まえつつ、充実・強化すべき対策や支援方策について検討を行うことが必要である。
このため、平成22年1月、中央防災会議に「地方都市等における地震防災のあり方に関する専門調査会」が設置され、計10回にわたる審議を経て、平成24年3月22日に専門調査会報告がとりまとめられ、同日、河田惠昭座長(関西大学社会安全研究科長・社会安全学部長・教授)から中川正春防災担当大臣に手交された。本専門調査会では、比較的被災範囲の狭い直下型地震災害を対象に、近年発生した地震災害における各地域での教訓や対応を踏まえつつ、地震防災のあり方について検討してきたが、東北地方太平洋沖地震で発生した課題や教訓のうち、例えば、避難所の環境改善等は被害の大きさや被災範囲に関わらず、本専門調査会で対象とする地震に対しても有効な教訓となることから、これらの事例等も検証を進めた。なお、災害事象は異なるが、近年頻発する水害や土砂災害等に対しても、本専門調査会報告でとりまとめられた対策は有効なものとなっている。
また、専門調査会報告と併せて、地方公共団体における災害対策の検討や地震発生時の災害応急対応等に活用できるように、「地方都市等における地震対応のチェックリスト(例)」と「地震対応の事例集」をとりまとめた。
地方公共団体においては、これらを活用し、地域防災計画や災害対応体制の見直し、訓練や研修等の実施、発災時の対応の効率化・円滑化、周辺の地方公共団体や民間企業等との連携、住民と連携した防災教育の促進など、地震防災対策の充実・強化に取り組むことが期待される。

河田惠昭座長(左)から報告書を受け取る中川正春防災担当大臣(右)

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内閣府政策統括官(防災担当)

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