東日本大震災からの復興の基本方針
平成23年7月29日、総理官邸で第4回東日本大震災復興対策本部会合が開かれ、「東日本大震災からの復興の基本方針」(以下基本方針)が決定されました。被災地復興については、仮設住宅建設、災害廃棄物の処理、ライフライン、交通網、農地・漁港等の基盤等の復旧、被災しても人命が失われないことを最重視した災害に強い地域づくり等の推進策が盛り込まれました。この基本方針について、防災を中心に要点を紹介します。
災害に強い地域づくり
- 高齢化や人口減少等の経済社会の構造変化を見据えたインフラ整備
- 高齢者や子ども、女性、障害者などに配慮したコンパクトで公共交通を活用したまちづくり
「減災」の考え方に基づくソフト・ハードの施策の総動員
- 「多重防御」による「津波防災まちづくり」の推進
また、災害時の避難場所として拠点となる学校等について、各種施設の整備等のハード面と教職員の役割等のソフト面からの防災機能の強化が明記されました。
大震災の教訓を踏まえた国づくり
(1)今後の災害への備え
基本方針には、今後の津波防災対策の検討を引き続き実施するとともに、防災基本計画をさまざまな視点から見直すこと、津波災害に強い地域づくりの推進では、将来想起される災害復興に役立つよう全国で活用可能な一般的な制度を創設すること等が明記されました。
また発生が心配される東海・東南海・南海地震では、被害像の明確化及び被害軽減のため対策の検討が明記されました。そのポイントは次の通りです。
- 広域応援体制や避難者対策、帰宅困難者対策など首都直下地震等の対策を検証
- 地震・津波等の観測・監視・予測体制の強化、津波警報の改善をはじめとした防災情報の強化
(2)救助活動
被災時には、警察、消防、海上保安庁、自衛隊等による長期間、広範囲かつ大規模な活動、救援活動や救急・救出救助活動が迅速に行われ、国民の生命・身体・財産が守られ、経済社会活動が円滑に行われることを確保するため、次のような対策が盛り込まれました。
- 警察、消防、海上保安庁、自衛隊や消防団などの災害応急対策の能力を強化
- 「逃げる」ことを含めた防災教育を推進、津波に関する啓発の充実強化や減災教育のための教材作成
- 被災者各個人・世帯の生活全般にわたる生活再建をきめ細かく支援する具体的な取組方策の検討
(3)震災に関する学術調査、災害の記録と伝承
今回の大震災の経験を記録し教訓とするため、政府は、国内外を問わず誰でもアクセス可能な一元的に保存・活用できる仕組みを構築し、広く国内外に情報を発信することとしています。
復興支援の体制等
政府は、復興庁(仮称)を設置する計画ですが、発足までの間は、東日本大震災復興対策本部が関係行政機関の復興施策実施の推進・総合調整等を行います。