やってみよう!家具固定 第4回(最終回)〜 オフィスの対策について

勤め先の事務所や買い物で立ち寄るコンビニなど、意外と身近にあるコピー機やスチール棚は、大地震が起きたときに凶器になるかもしれません。
固定が難しい物は専門家に相談しましょう。

 最近の大きな地震は、偶然にも、土曜日、日曜日、祭日に起こり、オフィスにおいて、大きな人的被害は発生していません。
 しかし、どの地震でも、オフィス内ではあらゆる物が跳んだり、重たいコピー機が暴走して壁に激突して大きな穴を開けたり、もし平日で勤務中であったなら、大変な大惨事が発生していた事でしょう。人的な被害が少ないのは、建物が安全だったからではなく、休日で、そこに人が居なかっただけです。スチール製の書庫や、1トン以上もある大金庫が、何メートルも飛んで横倒しになっていたり、信じられない光景を何度も見て来ました。
 地震発生時に管理責任者は何を守るのか、前もって決めておくことが大変重要です。
 つまり、人か物か情報なのか、機能なのか。物的損失は買い替えが可能ですが、人はかけがえの無い存在であり、あらゆる手段を講じても守らなければいけません。

平日であれば大変な事に…

1トン以上の金庫も跳んでいる

  オフィス内の書庫やロッカー、コピー機等の転倒防止対策は、かなり高度な技術が必要です。
 まず第一に壁が間仕切りになっていて、その多くは固定するだけの強度が不足しています。必然的に床で固定することになりますが、現在のビルはOAフロアーになっていますから、OAフロアーの下部(躯体)に固定しなければいけません。
 これを社内の方で出来ればベストなのですが、一般的には難しいと思います。安全を重視するなら、やはり専門家に相談される方が無難ではないでしょうか。
 防災対策を考慮する時の鉄則は、「コストが高い安い」を基準にしてはいけないということです。基準はあくまで、より安全であるかどうかが物差しであるべきです。安全対策にやりすぎは有りません。

スチール書庫の固定方法(一例)

重なっている部分は連結する

岩瀧 幸則さん

ジャパンシステムサービス株式会社社長
全日本地震防災推進協議会会長

岩瀧 幸則

いわたき・ゆきのり
阪神淡路大震災で被災者となり、屋内対策の重要性を提唱するため、静岡市に移住。

「やってみよう! 家具固定」を執筆いただいていました岩瀧幸則氏は、7月にご逝去されました。私たちの最も身近な生活空間における防災の備えに、貴重なアドバイスをいただいた岩瀧氏に感謝するとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。


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内閣府政策統括官(防災担当)

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