Disaster Report 災害報告

鹿児島県奄美地方における大雨による被害状況等

10月中旬から下旬にかけて前線が鹿児島県奄美地方に停滞し、記録的な大雨による甚大な災害が発生しました。
ここではその大雨がもたらした被害状況等をお伝えします。

大雨の状況

大雨の状況
  10月18日から21日にかけて、前線が奄美地方に停滞し、この前線に向かって南から湿った空気が流れ込んだことにより、大気の状態が不安定となりました。この影響で、奄美地方の一部では10月20日に一時間120mm以上の猛烈な雨が降りました。奄美市名瀬(なぜ)では10月20日23時20分までの24時間で648.0mmとなる観測史上1位の降水量を記録するなど、18日21時の降り始めからの降水量が800mmを超え、奄美地方の年間平均降水量の四分の一を超える量の雨がわずか三日間の間に集中して降るという、記録的な大雨となりました。

10月20日0時から24時の降水量(解析雨量)
降水量時系列図(10月18日21時〜21日24時)鹿児島県奄美市名瀬

大雨による被害の状況
  この大雨により、河川のはん濫や土砂災害が発生し、奄美大島内の市町村を中心に、死者3人、住家全壊10棟、半壊479棟、床上浸水119棟、床下浸水767棟等の被害が発生しました(11月26日現在)。
 通信関係では停電や浸水の影響などにより、携帯電話の多くの基地局が停波、固定電話の一般線や専用線の不通が発生するとともにテレビジョン放送中継局が停波しました。また、併せて延べ約2万5百戸で停電が生じるなど、ライフライン関係の被害により島内における住民生活に多大な影響が生じるとともに、被害状況の迅速な把握に困難をきたしました。
 農林水産関係では農作物、農地・農業用施設及び林道などに多数被害が生じ、被害総額は約39億円に達しています(11月19日現在)。
 道路関係では、国道及び県道において最大時34区間の道路で通行止めが発生しました。また、鹿児島県の調べ(11月17日現在)によれば公共施設等の被害総額は約124億円に達しています。

大雨による土砂崩れ現場(龍郷町)

大雨による道路陥没現場(奄美市)

避難指示・避難勧告の状況
 避難指示が、龍郷町(たつごうちょう)及び天城町(あまぎちょう)の273世帯、681人に発令されたほか、避難勧告が、龍郷町及び奄美市など合計で1,365世帯、2,819人に発令されました。この避難指示・勧告や自宅の被災などを受け、奄美市の奄美体験交流館では最大で約150名の方が避難されて昼夜を過ごされました。また、児童生徒などが自宅に帰ることができずに小中学校で待機する事例も生じました。

避難所の様子(奄美体験交流館)

避難されている方々を激励する東内閣府副大臣

政府の主な対応等
 10月21日に第1回関係省庁災害対策会議を松本内閣府特命担当大臣(防災)出席の下に開催し、政府・鹿児島県・被災自治体が一体となって災害応急対策に全力をあげ、更なる被害の拡大の防止に万全を期すること、孤立者の安全確保及び救出に全力をあげるとともに、避難先の安全と安心についても十分確保することなどの事項を確認しました。第1回以降、11月1日までの間に、松本内閣府特命担当大臣(防災)、東内閣府副大臣、阿久津内閣府大臣政務官などの出席の下で計5回の災害対策会議を開催しました。このように継続的に災害対策会議を開催することにより、関係省庁間で災害応急対策及び災害復旧に関する情報を共有するとともに、対策の更なる推進のための連携強化を図りました。
 また、10月30日に松本内閣府特命担当大臣(防災)、10月23日に東内閣府副大臣が現地調査を実施しました。
 内閣府は、鹿児島県大島支庁に衛星通信回線を設置して、政府現地関係機関災害対策会議(奄美市)と関係省庁災害対策会議(内閣府)との間でテレビ会議を実施するとともに、中央省庁へライブ配信するなど、中央防災無線網を活用して情報の共有を図りました。
 鹿児島県は10月20日を適用日として奄美市、龍郷町及び大和村に災害救助法を適用したほか、被災者生活再建支援法に基づく支援金支給制度を奄美市及び龍郷町に適用しました。
 なお、この災害は激甚災害に指定され、公共土木施設や農地等の災害復旧事業に係る補助の特別措置等が適用されました。

中央防災無線網を活用したテレビ会議(奄美⇔内閣府)

テレビ会議により訓示する阿久津内閣府大臣政務官

政府現地連絡対策室の設置
 10月27日からは内閣府職員及び関係省庁職員で構成する政府現地連絡対策室を鹿児島県大島支庁内に設置して現地の情報収集や鹿児島県・地元市町村との調整にあたりました。また、11月17日に内閣府に奄美豪雨復旧対策班を設置し、引き続き被災地の復旧を支援しているところです。

被災状況を調査する松本内閣府特命担当大臣(防災)

政府現地連絡対策室の様子

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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