Disaster Management News—防災の動き

平成22年版 防災白書を発表しました

平成22年版防災白書は、6月15日に閣議決定され、 同日国会に報告されました。

 今回の白書の構成は、まず、特集部分については、「『新しい公共』の力を活かした防災力の向上」を取り上げています。次いで、第1部では「防災対策に関する現状と課題」として、平成21年度に実施された主な防災上の取り組みを取り上げています。また、第2部では「災害の状況と対策」として、我が国の災害に対する対策全般について記述しています。
 以下、防災白書の特集部分について、概要を記述します。

阪神・淡路大震災以降における民間主体の防災活動の広がり

  阪神・淡路大震災は、防災活動においては、行政のみならず、国民一人ひとり、地域コミュニティ、ボランティア、企業、学校など様々な主体が支え合う力|「新しい公共」の力の重要性が認識される契機となった災害でした。実際、全国各地から延べ130万人以上の人々が各種ボランティア活動に参加しました。
 阪神・淡路大震災以降も、毎年のように地震や台風などによる自然災害が発生しています。この間、ボランティアなどの民間の防災活動は広がりを見せ、各種の自然災害の際には活動を重ねてきました。

地域の防災力に影響を与えている社会経済状況の変化

 一方で、以下のような社会経済状況の変化が、地域の防災力に影響を与えてきていると考えられます。
 ・就業形態の変化、少子高齢化により、消防団員数の減少、構成員の高年齢化
 ・都市のスプロール化、就業形態の変化により、住宅地での昼間の働き手人口の不在が発生しています。
 ・中山間地の人口減少、高齢化により、農林地の荒廃が発生し、土砂災害が発生するおそれがあります。
 他方、消防団員・消防職員のOBを支援団員として採用したり、女性団員による広報指導分団を設立したりするなど、創意工夫のある取組により消防団員数が増加した事例もあります。

各地域で広がっている「新しい公共」の力を活かした防災活動

 本稿では省略しますが、「新しい公共」の力を活かした、地域防災力の向上に寄与しているボランティア、企業、学校等による具体的な防災活動の事例を紹介しています。

はままつ子育てネットワークぴっぴ
ごみ袋で作る「簡単カッパ」

地域防災力及び防災分野における「新しい公共」の活動に関する国民意識

内閣府では、平成22年2月、全国の20歳以上の男女3000人を対象にアンケート調査を実施し、1196人(回収率39.9%)から回答を得ました。
(1)地域防災力についての認識
 地域防災力が十分だと考えている人は38%。
 他方、不十分だと考える人もほぼ同数の37%に上りました。
 地域防災力が十分ではないと答えた人の理由は、「地域の高齢化」が53%、「近所づきあいが希薄」が46%と上位を占めました。
(2)地域防災力を高める観点からの「新しい公共」の活動への期待
 ボランティアや企業などによる防災活動への期待は非常に大きなものがありました。
 防災ボランティア活動に期待する人の 割合…………… 88%
 企業の防災活動に期待する人の割合…………… 80%
(3)各個人として災害時に余力があれば行いたい活動
 救援物資の運搬、避難所の清掃、高齢者の話し相手などの避難生活における協力、初期消火活動、体の不自由な方等の避難誘導など、個人として半数以上の方が、災害発生時に余力があれば、できることをしたいと考えていることが示されました。
(4)地域防災力を高めるために必要なこと
 地域内部での努力と外部活力の両面からの取組が必要と認識されていることが明らかとなりました。
 既存のコミュニティの強化 …………… 53%
 地域の防災リーダーの育成 …………… 52%
 ボランティアなど外部の力の活用 ……………45%

課題及び今後への期待

 今回の調査・検討においては、ボランティア、企業、学校など多様な主体による防災活動への期待が高まっているとともに、多くの国民が各個人としても災害時に余力があれば積極的に支援活動を行う意向をもっていることが明らかにされました。また、地域防災力を高めるためには地域内部での努力と外部活力の両面からの取組が必要と認識している人が多いことも明らかにされました。
 災害から生命・財産を守るためには、行政による「公助」に加え、国民一人ひとりが防災意識をしっかり持ち、身近な防災対策を行う「自助」が不可欠です。その上で、地域コミュニティ等の防災力の向上という視点からは、今後の課題として、以下のような点が考えられます。
 ・ボランティア、企業、学校等の各主体の連携や、地元自治体、住民との連携が十分とはいえない。
 ・一過性にとどまらない息の長い継続的な活動をいかに続けていくか。
 ・マニュアルどおりの形式的なものではない実践的な活動により、いざ災害が起こったときにも役に立つものとする工夫が必要。
 ・これらを実現するためには地域の防災リーダーの育成が重要。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.