やってみよう！家具固定　第３回〜地震防災対策『家具転倒防止金具や種類』

ベルトで固定する

　ひと昔前によく見受けられた鎖やビスによる家具固定に代わる方法として、ベルトストラップをご紹介します。
　釘やビスが打てない電化製品や仏壇も、ベルトなら簡単に取り付けが可能です。このベルトは車のシートベルトとほぼ同じ、600キロ以上の引張り強度があり安心な上、家庭にあるハサミで切れますから、長さの調整も簡単です。
　固定する物体の側面に強力な粘着テープでベルトストラップを貼り付けるだけ。チェーンやワイヤーなどより軽くて使い勝手が良く、使用範囲も広がるでしょう。

背の高い冷蔵庫はもっとも倒れやすい家具です

固定の仕方

　ベルトストラップには、両端に壁に取り付けるためのビス穴と、固定する家具などに貼りつける強力な粘着テープが付いています。壁に取り付けるには、もちろん壁の強度やビスを打ち込める場所を確認しましょう。使用するビスは5mm以上の太さが必要です（「やってみよう！家具固定」第2回参照）。
　家具などの粘着テープを接着する面は、あらかじめホコリや油汚れをアルコールなどできれいに落とし、ベルトストラップがよく粘着し、強度が発揮されるようにしてください。

冷蔵庫をベルトストラップで固定する際は、
壁にしっかりビス止めし、粘着面をきれいにするのがポイント

冷蔵庫は倒れやすく、ピアノもひっくりかえります

　「まさか！」と思われるかもしれませんが、地震のエネルギーはグランドピアノさえ一瞬にして仰向けにしてしまいます。「こんなに大きい、こんなに重いものは大丈夫だろう」と考えるのは大間違いです。一瞬のうちに重力を超えるエネルギーを発出するのが地震の恐ろしさです。居住空間にある全ての配置物には転倒防止が必要なのですが、強度のある所に確実に固定していなければ、簡単に外れてしまいます。
　以上の点をよく理解したうえで、家具の固定作業、つまり大切な家族の命を守るための作業をしてください。

重くて大きいグランドピアノも仰向けに

ジャパンシステムサービス株式会社社長
全日本地震防災推進協議会会長
岩瀧 幸則
いわたき・ゆきのり
阪神淡路大震災で被災者となり、屋内対策の重要性を提唱するため、静岡市に移住。