Disaster Report 災害報告

霧島山(新燃岳)(しんもえだけ)噴火に関する被害状況等について

1.火山活動等の概況

 宮崎県と鹿児島県の境に位置する霧島山の新燃岳は、1月26日以降活発な噴火活動を続けています。同日には、気象庁により噴火警戒レベルがレベル2(火口周辺規制)からレベル3(入山規制)に引き上げられました。その後、噴火警戒レベル3を継続しながらも、噴火による噴石の飛散への警戒から、入山規制の範囲を1月31日に2kmから3kmに、2月1日に3kmから4kmに拡大しました。
 爆発的な噴火が3月3日14時までに計13回発生しました。一部の爆発的な噴火は空振現象(空気の振るえ)が伴い、空振に耐えられないガラス等が破損するという被害が生じています。また、噴火活動に伴う降灰が、宮崎県都城市を中心に広い範囲で観測されています。
 2月15日には火山噴火予知連絡会が開催され、新燃岳の火山活動に関する検討結果が発表されました。また、火山噴火予知連絡会は、噴火の頻度が低くなりつつあるものの「新燃岳の北西数kmの地下深くのマグマだまりから新燃岳火口に上昇するマグマの活動は低下していますが、再び多量のマグマが新燃岳へ上昇すれば噴火活動が活発化する可能性」があるとの見解を示しました。
 国や地方公共団体、学術関係機関等は、現在までに噴火活動の観測体制を構築・強化するとともに、万が一、火砕流や土石流などが発生した場合に迅速な初動対処できるようにするための情報の収集・分析を行っているところです。

2.被害等の状況

 3月2日までに、34名の負傷者が生じています。灰の除去作業中に誤ってはしご等から落下したものが多く占めています。住家への被害は生じていませんが、噴石によるガラス、太陽光パネル及びプラスチック製屋根の破損並びに空振によるガラス等の破損が約900件超生じています。また、降灰による視界不良のために道路の通行止めや鉄道の一時運行停止のほか、農業では農作物やビニールハウスへの降灰により収穫の一部不能や収量・品質の低下、収穫可能であっても出荷に洗浄を行う必要が生じるなど、多くの被害・支障が生じています。
 堆積した火山灰により、少ない降雨でも土石流を引き起こす危険が高まっています。土石流発生時に被害が生じるおそれのある宮崎県の都城市及び高原(たかはる)町は、一定の基準を超える降雨が予報された場合、また、降雨があった際には、避難準備情報の発表や避難勧告の発令を都度行ってきました。

火山灰が降りかかったホウレンソウ(鹿児島県曽於(そお)市)

3.政府の対応

 新燃岳の噴火活動及びこれによる被害を踏まえ、2月1日及び同4日に関係閣僚会議を開催し、噴火活動の今後の見通し及び被害の状況について情報共有を図るとともに、今後の政府の対応方針などを確認しました。また、関係省庁連絡会議を4回にわたって開催し、松本内閣府特命担当大臣(防災)が1月29日から30日及び2月11日から12日に、大畠国土交通大臣が1月29日に、海江田経済産業大臣が2月27日に現地調査を行いました。このほか、住民の避難計画の作成など早急に講じるべき対策について地方公共団体の取組を支援するため、政府支援チームを派遣しました。

政府支援チームと宮崎県との打ち合わせ(宮崎県宮崎市)

避難している方々を励ます松本内閣府特命担当大臣(防災)(宮崎県高原町)

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内閣府政策統括官(防災担当)

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