Disaster Management News—防災の動き

中央防災会議
「災害教訓の継承に関する専門調査会」について「過去の災害から学ぶ」

中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会」(座長:伊藤和明 特定非営利活動法人防災情報機構会長)は、7年半余りの検討の結果、25の報告書を取りまとめました。

1.「災害教訓の継承に関する専門調査会」

  過去に経験した大規模災害について、被害の状況、政府の対応、国民生活への影響、社会経済への影響などを体系的に収集することにより、被災の経験と国民的な知恵を的確に継承し、国民の防災意識を啓発するとともに、将来の災害対応に資することを目的として、平成15年5月29日、中央防災会議の決定により「災害教訓の継承に関する専門調査会」が設置されました。
 自然災害は、人間の営みに比べると、はるかに長いサイクルで発生します。規模の大きな災害ほど、国民の多くが初めて経験することになります。阪神・淡路大震災では、6,400人を超える方々が犠牲になりました。『あの災害を二度と繰り返したくない、そのためには過去を振り返って、過去の災害から学ぶことが大切だ』ということを背景に、このプロジェクトはスタートしました。

2.理学系、工学系の専門家に加え人文系や歴史系の専門家が加わり総合的な視点から検討

 「災害教訓の継承に関する専門調査会」には、理学系や工学系の専門家に、人文系や歴史系、過去の災害を“語り”という形で伝えている人材も加わり、日本が過去に経験した様々な自然災害について、当時の社会的な状況にまで踏み込んだ調査を行い、災害にあった人々がいかに生活を再建していったのか、地域社会がどのように復興してきたのかなど、総合的な視点から検討が行われました。
 平成15年7月の第1回会合から約7年半にわたり、15回に及ぶ専門調査会が開催され、下にあげる災害について報告書が取りまとめられました。

3.普及啓発用小冊子「災害史に学ぶ」等の活用

 報告書は200ページに及ぶ詳細なものであり、委員の中からも「高度で充実した内容になっているものの、一般の方から見るとかなり専門的で、必ずしも簡単に読めるものになっていない」というような意見もあったため、一般の方々に対して分かりやすく解説し、またそこから得られた教訓を将来の防災に生かすことが出来るよう、新たに普及啓発用としての小冊子が作成されました。
 普及啓発用小冊子「災害史に学ぶ」は、「海溝型地震・津波編」、「内陸直下型地震編」、「火山編」、「風水害・火災編」の4編からなっています。
 また、専門調査会では、「災害教訓を一般の人たちに広めていくには、その災害に遭遇した人たちに、どのようなことが起こり、どんな思いをしたかが具体的に描写され、臨場感のある形で伝えられると一番分かりやすく、心の奥底に届いていく」、「小学生や中学生などにも読んでもらうために、それぞれの災害の体験者の“生の言葉”を中心にまとめた一冊があるとよいと思う」という提案がなされました。これを受けて学校教育でも活用していただけるような災害被害者等の体験談を集めた小冊子「体験集」も作成されることになりました。
 「災害教訓の継承に関する専門調査会」では、25の報告書、4編からなる普及啓発用冊子「災害史に学ぶ」が作成されましたが、今後はこれらを活用した災害教訓の普及啓発を図ることが課題となります。

「災害教訓の継承に関する専門調査会」が取りまとめた25冊の報告書
普及啓発用小冊子「災害史に学ぶ」

4.おわりに

 専門調査会の終わりに、伊藤座長から「専門調査会でまとめた25の報告書には、それぞれ過去の事例から将来への教訓、あるいは警告といったものが含まれており、まさに防災面の温故知新といってもいい。今後いかに継承し、社会に還元していくかが問われている」との発言がありました。

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