Disaster Management News—防災の動き

公共土木施設等に係る局地激甚災害指定基準の改正について

○はじめに
  本年1月13日に公共土木施設に係る局地激甚災害指定基準が改正されました。これは、近年、局地的豪雨が増える傾向にある中、過疎地域等財政規模の小さい市町村を中心に、局地的ではあるものの大きな被害が発生していること等を踏まえたものであり、公共土木施設等に係る指定基準改正としては、平成12年以来の大きな改正です。

○激甚災害制度
 激甚災害制度は、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づき、地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行うことが特に必要と認められる災害が発生した場合に、当該災害を激甚災害として指定し、併せて当該災害に対して適用すべき災害復旧事業等にかかる国庫補助の特別措置等を指定するものです。
 激甚災害の指定には、全国規模の災害を特に地域を定めず指定するものと、局地的な災害を市町村単位で指定するものがあります。前者を「本激」、後者を「局激」と呼んでおり、それぞれ、中央防災会議で決定した「激甚災害指定基準」、「局地激甚災害指定基準」に該当する災害を指定しています。
 激甚災害に指定された場合、例えば、公共土木施設については、通常、7割程度の国庫補助がなされている河川、道路等に係る災害復旧事業について、1〜2割程度補助率がかさ上げされることになります。

○基準改正の背景
 近年、日降水量200mm 以上の大雨、1時間降水量50mm 以上の大雨の発生回数が増加傾向にあります。また、このよう大雨は局地的に発生し、大きな被害をもたらす傾向にあります。
 平成22年の災害では、7月の梅雨期豪雨による広島県庄原市、10月の奄美地方の豪雨による鹿児島県奄美市などで、記録的な大雨が観測され、土砂災害、道路法面の崩落、路盤の崩壊、河道閉塞による溢水等の被害が発生しています。
 局地的豪雨等による災害は、過疎地域や中山間地域など財政規模の小さな市町村において目立ってきていますが、このような地域では、人口・経済の空洞化、高齢化などにより都市部との格差が拡大し、さらに、福祉関係の歳出が増加するなど災害復旧事業に対応しづらい地方財政構造に変化してきています。
 公共土木施設等に係る局地激甚災害の指定基準は、市町村が負担する災害復旧事業の事業費が当該市町村の標準税収入の50%を超えることが要件となっていますが、過疎地域等の市町村では現行指定基準を下回る規模の災害復旧事業でも重い負担となることも多いことから、指定基準の見直しが検討されてきました。

広島県庄原市川北町篠堂の被害状況
(写真提供:(株)パスコ/国際航業(株))

鹿児島県奄美市住用町の被害状況

立川広域防災基地から自衛隊ヘリによる要員派遣・資機材搬送

○基準改正の内容
 従来の指定基準に加え、標準税収入が50億円以下の市町村において生じた、査定事業費2.5億円を超える災害について、査定事業費の標準税収入割合が20%を超える市町村を局地激甚災害の対象に追加することとなりました。
 これは、基準改正の背景で記述したように、財政規模の小さい市町村の状況変化に対応するもので、査定事業費が一定額以上の規模に達している場合には、標準税収入割合を引き下げることとしたものです。
 なお、上記措置との均衡上、標準税収入50億円〜 100億円の市町村について、財政規模に応じて、20%超〜50%超とする調整措置を設定することとしました。

○平成22年度災害への適用
 今回の基準改正は、平成22年に発生した災害から適用することとされています。本改正により、局地的にではあるが大きな被害が発生しているものの、従来の指定基準では局地激甚災害の対象とならなかった市町村が新たに対象となります。具体的には、梅雨前線豪雨による岐阜県八百津町、広島県庄原市、山口県美祢市、台風第9号による静岡県小山町、奄美豪雨による鹿児島県奄美市、瀬戸内町などが対象となると見込まれます。

○おわりに
 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による津波を想定し、津波による被害の軽減を目指して、10月16日(土)に、北海道釧路市をメイン会場として、大規模津波防災総合訓練を行いました。

(担当:総括参事官室)

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内閣府政策統括官(防災担当)

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