日本の知恵を世界に 第2回

中米広域防災能力向上プロジェクト“BOSAI”

独立行政法人国際協力機構(JICA)は、2007年から2012年まで、中米地域の6カ国を対象に、中米広域防災能力向上プロジェクトを実施しています。

「BOSAI」の心を中米の人々に伝えたい

 グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマの6カ国の国土の面積は日本の1・3倍ほど(人口は日本の1/3ほど)と比較的小さな 地域だが、地震・津波災害、火山災害、風水害、土砂災害など、日本と同様にあらゆる種類の自然災害のリスクにさらされている。
 プロジェクトでは、各国の防災機関や自治体と協力しながら、選定されたいくつかのコミュニティで、その地域が直面している災害リスクの評価、防災マップづくり、防災訓練、防災教育・意識向上、コミュニティレベルの災害対策に役立つ低コスト技術(簡易雨量計、簡易水位計、古タイヤ堤防など)の開発などを、地域住民とともに行っている。これを繰り返すことによって、防災機関や自治体が、同様の活動を独力で全国に普及していくノウハウの修得を目指しており、さらに各国での経験や作成した教材・マニュアルなどを6カ国間で共有していくことで、互いに刺激を与え合いながら地域全体の地域防災力を高めようとしている。
 活動にあたり、日本人の専門家たちが日本の経験やノウハウを生かした指導を現地で行っている。例えば、災害リスクの評価や防災マップづくりでは、タウンウォッチングや災害図上訓練(DIG)など、日本でも活用されている手法を現地の状況に合わせてアレンジしている。また、防災教育・意識向上では、防災ワークショップの実施を通じた住民への災害・防災知識の伝達、防災意識の向上の手法を指導している。
 これらの活動に共通するのは、単なる手法やノウハウの指導に留まらず、それらの背景にある日本の防災の精神や心を伝え、中米地域で防災文化が醸成していくための種を蒔こうとしている点だ。このプロジェクトは、現地では「BOSAIプロジェクト」と呼ばれ、「BOSAI」という日本語は中米の防災関係者の間ですでに定着しつつあるが、いつの日か「BOSAI」という言葉とともに防災文化がこの地域に根付いていくことを願っている。

コスタリカでの古タイヤ堤防試験施工の様子(写真提供:JICA)

中米6カ国(出典:http://geology.com よりダウンロード一部改変)

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内閣府政策統括官(防災担当)

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