可美地区社会福祉協議会常任理事 鵜飼愛子さん
みんなに慕われる ボランティアの “お母さん”
5人の子どもを育てる専業主婦だった鵜飼さん。
「PTA活動や婦人会など何にでも一生懸命になってしまう性格は、子どもの頃からかもしれません。そういえば、中学生の頃も生徒会の役員とか、高校生の頃の部活動でもなぜか、みんなのまとめ役でしたね」
子育ても一段落し、自分の人生を生きたいと、30代も終わる頃から取り組んだのが福祉関係のボランティア活動。そして、平成7年、阪神・淡路大震災が発生。地区の社会福祉協議会の立ち上げにかかわり、日頃から高齢者の介護問題に取り組んだり、主任児童委員として子どもと接していたために、「地震が起きたら、どうやってみんなを守るの?」と痛感した。
そこで、静岡県の災害ボランティアコーディネーター養成講座を受講した後、仲間とサイボコ浜松(災害ボランティアコーディネーター浜松の愛称)を立ち上げた。2年目からは代表を務め、市内のボランティアリーダーたちとの連携力を育ててきた。
今もさまざまな団体と連携を図りつつ、自分の住む可美地区では地域に根付いた活動をしている。平成19年には、可美地区災害対応ネットワーク会議を発足。
「母体は地区の社会福祉協議会。普段は介護や子育てサポートなど、それぞれのグループで活動をしているけど、いざという時はみんなが災害ボランティアとなります」
鵜飼さんは、各所との連絡や研修会の企画など、事務局の運営を一手に引き受けている。
「地域のイベントの企画メンバーには40代の人が多く、中高生も積極的に参加します。準備は大変だけど、企画を考えるのは楽しいし、イベントが始まったら自分も一緒に楽しんじゃう! お年寄りと話をするのも好きだし、若い方たちとワイワイやるのも楽しい。子どもたちには『若い人からお年寄りまで、どんな人とも付き合えちゃうなんて、お母さんは変わってる』って言われてます」
防災関係の講師も務める鵜飼さん。災害に対する心構えだけでなく、主婦の目線で、新聞で作るスリッパやごみ袋で作るレインコートなど、家庭にある身近なもので災害時に役立つアイテムも教えている。
「講座で使うテキストは、図や写真も入れ込んで、自分でパソコンで作ってます。今、65歳だけど、年のわりにパソコンがよく使えるね、って」
走り出すと止まらない鵜飼さんの行動力のもと、ボランティアの輪は着実に広がっている。

ごみ袋で作ったレインコートを着た鵜飼さん(写真提供:鵜飼愛子)

うがい・あいこ
可美地区社会福祉協 議会常任理事、サイボコ浜松代表、災 害ボランティアコーディネーター。防災 に限らず、さまざまな福祉の分野で活動。 「顔の見える心のつながる」まちづくりを 行っている。